Yu

ポゼッサーのYuのレビュー・感想・評価

ポゼッサー(2020年製作の映画)
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うぅ気持ち悪い…

映画ってあくまで銀幕の中で始まって終わるもの、現実に大きく干渉してくることってあまりないと思うのです

ターゲットの脳みそをぐちゃぐちゃにしながら、自分の脳みそもぐちゃぐちゃになるのは作中で完結するなのに、
ヒューマントラストシネマから副都心線に戻ってくるまで、いまも自分の脳みそをぐちゃぐちゃにされているというか、

インターネットがバチボコに普及して、いろんな人の声を自分の脳みそへ容易にインストールできるようになった昨今
薄っぺらな人間である私は、目にしたものをそのツルツルな脳みそにチュウチュウと吸収しちゃうわけで、
たまに会話の中で自分の言葉で話しているつもりが「これどっかで見た言葉をなぞってるだけだな」と感じてしまうことがあるのです

この「これどっかで見た言葉をなぞってるだけだな」が仮に自分だとしたらめちゃくちゃ怖くない?たまにしか出てきてないじゃん自分!とか、
なんだか映画の感想じゃなくなったからここまでにして……

ブランドン・クローネンバーグの長編2作目!見た!
国内で見られるのは近々だったけど、他の方のレビューでヤバそう気になっちゃう〜な状態で随分と寝かせていたんだけど
もう見終わってからの精神ダメージが強すぎてオェ〜っとえづいている次第でございます

冒頭から泣いているのか笑っているのかわからない曖昧な表情で頭に刺さった針を抜く、なんてゲロゲロな演出で早速ゲロゲロなんだけど、
全編通しても血液のドロドロ感が非常に生々しくて極めて不快でした、
垂れ流れる鮮血はキレーな床を徐々に侵食していくように広がって、思いっきり足を切った時の洗面所を思い出しちゃう
血って思ったよりサラサラしてなくて、踏んづけたらヌルッとしてるわけで、
久々に映像の血を見て、カタルシスではなく、血の気が引く思いをしました、

またまた冒頭から、プロの殺し屋とは思えない、怒涛の刺殺、
初回は19回でラスト刺殺は25刺しですよ…
ただそこに見えたのは殺意やら狂気ではなく、何かを避けたことによる反動やら罪滅ぼしやら、そう罪悪感を増幅させるためというか、自傷行為に見えちゃうんですよね、

主人公タシャは、マンディ地獄のロードウォーリア・オブビリオンでは顔面力の強い2人を押し退ける印象を残し、
ナンシーでは見てるこっちの顔面までひきつらせたアンドレア・ライズボロー
ミステリアスって表現するとそこまでだけど、この悪意なき残虐性というか、
人間味を感じさせないなんだろ、ティルダ・スウィントンの理解の範疇を超えたコズミックな振る舞いのような、
素直にいうとめちゃくちゃ気持ち悪い

どこにいても瞳の奥に正気を感じないし、作中でも旦那と話すシミュレーションをしていたように、人間のフリをしてる感じがゾクゾクしちゃうんですよね、上司にマッジでいて欲しくないタイプです

ズゥううんって重苦しいサウンドが常に流れていて、一見ミライモニュメントに見えるような一枚絵のカットは、めちゃくちゃ悪夢チックで最悪すぎる
しかもそのミライモニュメントのほとんどはチンポコなわけで、オェオェなわけです

物語の起伏はそれほど大きくなく、(もちろん目ん玉くり抜きやら満足度の高いゴア描写もあるけど)基本的に、一つの肉体の内面をみて進むから、クソ眠くなるのも事実。
なんか、目をぎゅっと閉じた時に見える緑のキラキラを閉じた瞼の中で追いかけている時の感覚に似ているというか、
あの「限界まで見続けたらどうなっちゃうの〜」感で乗り切った感じがありました

あとピアッシングで刺殺フェチだったコリン君夢が叶ってよかったね🙄
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