烏丸メヰ

霊犬戦士ハヤタロー 伊那谷幽玄の戦いの烏丸メヰのネタバレレビュー・内容・結末

1.5

このレビューはネタバレを含みます

神を騙り生贄を要求していた邪悪な老猿の化け物と、それを退治した犬・早太郎の有名な伝説をモチーフにした特撮。

特撮作品に携わってきたスタッフによる“正統派の特撮文脈”と、ご当地愛が詰まった作品。

説明台詞やクセの強いキャラクター等はまあ特撮らしさだとして、作りに一部明らかに首を傾げる箇所(妖怪A・B・Cの三体がおり、身振りからするとCの喋っている箇所が二度あるが、一度めはCの声として、二度めは別の個体Bの声が当てられている)があるのと、現地の子供達と思われるエキストラシーンの撮り直しをしてない感等「ご当地向けでしかないから的なゆるさ」がかなり目立つ。

特に、クライマックスの戦いにおいて、ピンチのヒーローを鼓舞する地域の皆さんの合唱が流れるくだりで挿入される、何か現地のダムか何かの空撮も、地域の人間でないので全く何なのか分からなかった。
「ご当地モノだから、ご当地の人だけが分かればいいし、一緒に作ったご当地の人達の思い出に残ればいい」的なゆるさ、身内向け感を微笑ましく思える人は楽しめるかも。
デザインや物語設定には惹かれるものがあったが、この映画の地域の完全な部外者である私はこの内輪向けすぎる箇所で知らない家族のホームビデオを観せられてる時のような感じがして、所々入り込めなかった。

とはいえ、ご当地愛と俳優・スタッフ陣の気合いはかなり伝わるし、純粋にハヤタローとヒヒ神のデザインは可愛らしさもあって好き。
町並みや寺など現地の風景がたくさん出てくるので、長野県伊那谷にゆかりのある方は、それこそホームビデオ的な愛着を持てる作品だと思う。

あとは、ヒーローもの作品として、ヒーローソングとしてのハヤタローの主題歌が無かった事が残念。
『薩摩剣士隼人』や『超神ネイガー』等日本の伝説をアレンジした特撮ご当地ヒーロー、というのはかなり可能性を感じるコンテンツなので、だからこそご当地を大切にしつつも身内ノリで完結せず全国の人が楽しめて、その土地に行ってみたくなるような作品が出てきたら嬉しい。
烏丸メヰ

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