このレビューはネタバレを含みます
"親"って何？"家族"って何？と深く考えさせられた。
酷く憂鬱な雰囲気で進む作品。
周平は閉ざされた世界で生きてきて、母親と妹のいる世界でしか居場所が無くて、彼の全てになっていた。彼の意思は何も無かった。
選択が出来ていれば彼の未来は変わっていた。でもそれを彼は選ぶことが出来なかった。とても残酷でとても悲しい。
周平の僕は産まれてきてから全てが間違っている。母親が今でも好き。母親を好きという気持ちも間違っているの？というシーンが彼の歪みを表していた。
一方で秋子の終始繰り返される"私の子供だよ"というセリフ。ここに母親としての愛情は何も無かった。
ラストの私の子供だよ。どう育てようが私の自由。私の分身。というシーン。
周平とは真逆の感情に深い哀しみと秋子という人間のドス黒さを強く感じられた。
亜矢から秋子へ告げられる周平の気持ち。告げられた時の秋子の表情には度肝を抜かれた。長澤まさみの圧巻の演技。脱帽。
決してフィクションでは収まらない醜い現実を映画という2時間の作品でここまで表現したのは作品として素晴らしい。
新年早々衝撃的な一本でした。
