Yellowman

画家と泥棒のYellowmanのレビュー・感想・評価

画家と泥棒(2020年製作の映画)
4.0
この作品は、今年観た海外ドキュメンタリーの中では、断トツに面白かった。
事の発端は、ノルウェーのリアリズム女性画家バルボラ・キシルコアの個展中に2枚の絵が盗まれたという事から始まる。防犯カメラの映像には、白昼堂々と2人組の男が手慣れた素振りで、いとも簡単に持ち去る姿が収められており、盗まれた画家バルボラは、裁判の席で、泥棒2人組の内、1人だけ捕まったカール・ベルティルに、「個人的なお願いしたいから、連絡先教えて」と話しかけ、それがきっかけで、自分の作品を盗んだカールに、自分の作品のモデルに起用し、何とも不思議な関係がスタートする。
「盗んだ絵はどこにいったの?」と聞いても「全く覚えてない、薬でラリってたら」との一点張り。初めは手探りで、微妙な距離感を保っていた2人だが、バルボラの描いたカールを見た本人は、感動のあまり、号泣する。
それから、より距離が縮まってからは、作品のモデルと画家という関係は続きお互いのプライベートの話まで話す関係となるが、そこで、様々な問題が起きていく。

3年かけて、撮り続けた映像は、その時々の2人の自然かつ、繊細な表情が収められており、いわゆるナレーションなんかは、一切入っておらず、余計に没入してしまうぐらいだ。
観てる側には、この”画家と泥棒”という2人の関係性が色んな見え方が出来るように作られている。いわゆる、観てる側に着地点を委ねるかのように。
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