ムギ山

画家と泥棒のムギ山のレビュー・感想・評価

画家と泥棒(2020年製作の映画)
2.5
アトロクで紹介されてたので見た。ノルウェーのドキュメンタリー映画である。おもしろかった。おもしろかったんだけれども……。

なんというかオハナシが出来すぎているというか、現実にありがちな不整合な部分がきれいに取り除かれているみたいで作り物にしか見えないというか。ストーリーラインとしては「画を盗まれた画家がその犯人と出会って『肖像を描かせてほしい』という奇妙な申し出をし、交流するうちに惹かれ合ってゆく」というものだけど、その中で描かれる「収入が減って家賃が払えない」とか「同居している恋人と距離ができはじめる」というエピソードがこのストーリーにきれいに収まってしまいそうなのが個人的にはなんだかイヤな感じがして、画の盗難事件とはべつの話がたまたま紛れ込んでいるのだ、と自分に言い聞かせながら見ていたのだ。うまく説明できないけど。あるいは、登場する人々がことごとくカメラの存在を意識していないように見えるのも不思議である。なんでみんなあんなに自然に振舞えるの?

というわけで、現実の事件の記録なのはウソではないのだろうけど、この作品そのものは、監督によって非常に丁寧に加工された、限りなくフェイクに近いドキュメンタリーのように見えてしまった。
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