非常に珍しいドキュメンタリー。
チェコ人女性画家の作品が、ノルウェーのオスロ美術館から盗まれた。大きな油絵が2枚。
この映画の監督はここで画家の彼女に接触し記録を始めた。結果はわからない短編ドキュメンタリーの予定で。
犯人のノルウェー人男性は法廷で反省の様子を見せた。彼は盗んだ絵を売っていなかった。
閉廷間際、画家は彼になぜ盗んだのか聞いた。
「なぜ盗んだの?」
「美しかったから」
「ふふふ ごめんなさい笑っちゃって 画家として聞くわ また会えるかしら?」
8年後出所した彼は、彼女のモデルとして度々会う関係になっていた。
会話は穏やかで一定、落ち着いている。
ある日彼女は彼に制作途中の肖像画を披露。彼がグラスを持ちうつむいているシーン。
見た途端、彼は言葉を失い、そして子どものようにわんわんと泣き出した。
彼女も戸惑う。
彼の生活は未だ荒れていて、彼女とて彼を把握しているわけではない。
とても不安定でよく音信不通になるしドラッグも辞められていない。
二人の不思議な友情関係、そして人間の心理や芸術の力について考えを巡らせる、貴重な記録。