とりん

ドリーム・ホースのとりんのレビュー・感想・評価

ドリーム・ホース(2020年製作の映画)
4.0
2023年100本目

ウェールズの片田舎で、夢や職も失った大人たちが馬主になるコミュニティを立ち上げ、競走馬を育て上げる話。
良作とは聴いていたけど、ここまで胸を熱くさせて、惹かれる作品だとは。
田舎暮らしで昔は生き生きしてた時期もあったけど、やがてみんな歳を重ねればそれなりに生きがいも減っていく。ただなぁなぁで生きる時間が過ぎていく大人たちも多いだろう。自分もそうなりがちである。
だからこうしてもう一度心を奮い立たせるようなことをみんなで立ち上げ、みんなで一つの夢や目標に向かって動いていくというのがすごくグッとくる。
こんなに上手くいくのかってくらい上手い話ではあるけれど、それでもそのくらいのサクセスストーリーで良いじゃないかって思える。
だってみんなそれまでいろんな人生経てきたんだもの、枯れ果てた気持ちがこうしてもう一度水を得た魚のように一喜一憂し、声高らかに応援し、熱狂できることなんてそうない。
やがてコミニュティだけでなく、田舎街そのものを飲み込んでいき、ウェールズで最も権威あるレースを制するまでに至る。
本当にそこまで辿り着くなんて思いもしなかった、良い感じの成績で優秀な馬だったねくらいだったと予想してたのに、まさかそんなところまでいくとは、本当にドリームホースだ。これが実話なんだもんな。
初優勝の時は鳥肌モノだったし、最後のレースやその後のハワードが余韻に浸るところは泣けてきた。
それぞれの話をもう少し掘り下げて描いても良かったけれど、これでも2時間弱あるからね。そうすると間伸びしてしまいそうだから、これくらいにしておくのが良いのかも。
ジャンやデイジーのドリームに対する愛情もすごく伝わるし、演技馬なんだろうけど、ドリームの闘志ある目はしっかりと感じ取れた。
そしてとにかく音楽がかなり良い。まさかのマニックスが流れるのはズルい。ウェールズが舞台なだけある。みんなで歌うエンディングも最高でした。
とりん

とりん