クリーム

フォーリング 50年間の想い出のクリームのレビュー・感想・評価

3.7
ヴィゴ·モーテンセンが初監督·脚本·主演を務め、D.クローネンバーグ友情出演との事で気になって観賞。働きながら息子が直面する父の認知症問題は、興味深かったです。良かったけど、ちょっと引っ掛かる所があったのも事実。
同性のパートナー、エリックと養女と暮らすパイロットのジョンは、認知症を発症した父ウィリスを自宅に連れ帰る。元々、口が悪く悪態を付き暴力的な父と距離を感じていたジョンだったが、認知症で、過去と現在が混乱する父と接するうちに自分の幼い頃からの記憶も蘇って来るのだった。



ネタバレ↓



そもそも、認知症以前にこの父の考え方や言動に問題があり過ぎて、こんな人が認知症になったら、それは大変なのだろうとゾッとしました。ランス·ヘンリクセンの認知症演技は良かったです。
設定が、ちょっとやり過ぎで、ジョンがゲイでパートナーとの間には移民と思われる養女がいて、妹サラの娘がバイで、息子はチャラい。じいさんに悪態つかせる為の小道具みたいでちょっと気になってしまいました。
そんな訳で、じいさんは、皆に悪態をつき失礼でしたが、何故か養女にだけは優しかった。子供は好きなんでしょうね。
思い返せば、父はジョンが幼い頃、鴨を撃った時に共に喜び、鹿に対して銃弾を撃てなかった息子に「良いんだ」と優しく言ってくれていた。彼なりに子供を愛し、妻も愛していたんだと思いました(死ぬ間際の妄想は若い頃の妻が自分の上に乗っているシーンだった) 。
ジョンは、最終的に父の想いを理解し困惑しつつも、願い通りの居場所で最期を迎える事を許容するのでした。
綺麗ごとだけど、パイロットで金銭的にも余裕があるジョンは、父が何か問題を起こしても責任を捕る事が可能なのだろう。一般的には難しい決断だと思う。父と向き合う事で、蘇る記憶と共に見えてきた父の愛。認知症は、向き合う事からが第一歩だと言う事なのでしょうね。やり過ぎ設定と一般的ではない理想的なラストに引っ掛かかりつつも息子が真摯に父と向き合う姿には胸に来るモノがありました。

クローネンバーグ様は、医者役で神経質そうのな顔があってました。

あの濃厚な男同士のキスシーンは、必要だったのだろうか?別にゲイカップルアピールしてくれなくても良い気が?ちょっと違和感だった。
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