ちろる

ホース・ガールのちろるのレビュー・感想・評価

ホース・ガール(2020年製作の映画)
3.5
手芸と馬が好き。
地味でいいから穏やかに暮らすだけで幸せ。
そんなサラ。
しかし夢遊病を患っている彼女は、日常の中で不思議な超常現象に遭遇し(てると思い込んで)、いつのまにか現実と夢の世界の区別がつかなくなる。

全体的に非常に不明瞭な物語である。
サラが一体何を望んでいて、どこに向かっているのかは示されないままにサラの『見ているもの』に私たちが取り込まれていく。

はっきりとした説明がないものの、サラの会ったこともない祖母が統合失調症を患い、更に母までも心を病んで残酷な終わりを迎えたサラにとって世の中を真正面から迎え入れることは難しかったに違いない。

サラの全ての言動は狂っているように見えても彼女にとって見えている全ては真実であり、それを信じてくれない周りは敵になってしまう。
幻想的なシーンも登場するファンタジックな雰囲気だと思いきやどんどん押しつぶされそうなどんよりした気持ちになってしまうのは、このサラを演じ脚本も描いたアリソン・ブリーが本人の押しつぶされそうな心の闇を吐露した作品だからなのだろう。
彼女の身の上もまたサラと被り壮絶だったそうで、この作品がある意味彼女の苦悩と向き合うための必要な手段だったのだともいえるのかな?

なかなか理解できそうにもないラストの怒涛の展開。
しかし、サラが少し満たされた表情をしていたのは良かったことなのかな?
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