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ナイトメア・アリーのMALPASOのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
3.9
映画『ナイトメア・アリー』

傑作!
ギレルモ・デル・トロ監督作。

主演はブラッドリー・クーパー、
ルーニー・マーラー、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、ルーニー・マーラら名優が勢揃い。

1946年に出版された名作ノワール小説「ナイトメア・アリー 悪夢小路」が原作。1947年にエドマンド・グールディング監督、タイロン・パワー主演で『悪魔の往く町』として映画化された。これ自体はすごく良くできたノワール。この映画好きでDVDで持っていた。112分もあるけれど、飽きずに観れる。当時はフォックスのスタジオに100人以上に出演者を集め大がかりにカーニバルを再現した。これを映画化すると聞いた時に、デルトロ監督は外さないいい作品のリメイクを選んだなと思った。今回も大まかな物語は変わらず。しかし、デルトロ監督は物語の伏線をしっかり描かれていて、今回のほうがよりわかりやすくなっている。さらに主人公スタンと父親のエピソードを描いたり、物語に深みが増している。もしかして、オリジナルにないような怪物とか出てくるのかと思ったが・・・額にもう一つの眼のような胎児のホルマリン漬け。あれが意味するものを考えてみたい。『シェイプ・オブ・ウォーター』の半魚人同様、額に眼のようなものがある。ヒンドゥーにシバ神、手塚治虫の『三つ目がとおる』など、”千里眼”として特殊な能力を意味する。

迷信や宗教を信じないが故に手に入れた成功と、崩落する主人公。

47年版よりもより人間を深く描いたり、要素を増やしたため約40分も増量された本作。それによって前半は少し退屈かも。

カラーなのに何故かモノクロの印象になってしまうのは、『悪魔の往く町』の印象が強いからかも。

見せ物小屋というのはなんとも怖くて不思議な空間で惹かれる場所。子供の頃、見せ物小屋というのがお祭りにあった。下を隠して「首だけで生きている犬」とか「双頭の牛」の剥製、ヘビを食べるおばあさんとか、水から泡が出ているだけのカッパに育てられた少年・・・いわゆる「眉唾もの」とわかっていて、口上を楽しむのが見せ物小屋だった。大人になって、秋に行われるニューヨークのリトル・イタリーのお祭りで見せ物小屋に遭遇。蛇女と小人の女性に会った。10年後くらいにまた同じ見せ物小屋があって、別の蛇女と小人の女性に会った。時や場所を超えて存在することが興味深い。
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