観客の皆さまに本日披露いたしますのは、"嘘"に囚われた男の空虚な人生…。
人生に"絶対"は無い。砂の城が波に攫われるように、積み上げたものが脆くも崩れ去る。一瞬で。
賑やかなカーニバル、観客の拍手が欲しかった。今はあの頃よりもっと欲しい。愛する人が隣にいてなお足りない。
欲深きものには必ず報いが訪れる。
前半と後半でガラリと変わる雰囲気。
カーニバルに身を寄せていた頃は、闇が際立つ場面が多いがどこか暖かさも感じる。師に出会ったからか、愛する人に逢えたからか。
愛する人と2人で向かった新天地。光が差し込むシーンは増え、煌びやかなショービジネスの世界は輝かしい。しかし何故か冷たい影が付き纏う。
ギレルモ・デル・トロの奇妙で怪しげな世界観の中、欲望に歯止めが効かなかった者の人生の顛末がダークに描かれる。人生の輝かしい時期が過ぎ去った男に迫る闇からの呼び声。段々と闇が濃くなるような終盤の畳み掛けには鳥肌が立つ。
おや、貴方も気になりますか？
闇の先に何があるのか。
どうぞ、ふらりと覗いてみるとよいでしょう。
ようこそ、"悪夢小路(ナイトメア・アリー)"へ。
