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ナイトメア・アリーのkuuのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
4.0
『ナイトメア・アリー』
原題 Nightmare Alley.
映倫区分 G.
製作年 2021年。上映時間 150分。

ギレルモ・デル・トロ監督が、ブラッドリー・クーパーはじめ豪華キャストを迎えて送り出すサスペンススリラー。
過去にも映画化されたことのある、1946年に出版された名作ノワール小説『ナイトメア・アリー 悪夢小路』を原作に、野心にあふれ、ショービジネス界で成功した男が、思いがけないところから人生を狂わせていく様を描く。
スタン役をブラッドリー・クーパーが務め、ケイト・ブランシェットほか、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、ルーニー・マーラらが共演した。

ショービジネスでの成功を夢みる野心にあふれた青年スタンは、人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座とめぐり合う。そこで読心術の技を学んだスタンは、人をひきつける天性の才能とカリスマ性を武器に、トップの興行師となる。しかし、その先には思いがけない闇が待ち受けていた。。。

⚠️現在、禁煙中の方は呉々もヤニの魔力に注意してください。

今作品には品のある台詞が多々感じれた。
プロットは1940年代を舞台にしてて、観客がストーリーテリングを通してのみ垣間見ることができる会話、文化、生存本能の異なる時代でした。
スタントン・“スタン”・カーライル役のブラッドリー・クーパーは、作中、当時の上流社会に関連する階級と、人がどのように話さなければならないかをつかむことに成功している。
過去だけでなく、これらのキャラの高いプロファイルのラインを設計することは、まさに芸術やし、彼らは世界を完全に明るみに出すために必要なマナーと用語を実行することで、善き演技をしていたと思います。
彼の話し方は、なぜかキャラの核となる要素で、映画のクライマックスポイントの雰囲気作りに大いに役立っていました。
映画って個人的な考えにはなりますが、人間の心理の暗い入り口と操作についての作品やと、"ヒーロー"が活躍する舞台を設定しなければならないと思てます。
今作品は、カーニバルが人々の想像力を楽しませる生活の重要な要素であった過去に連れ戻し、その目的を達成させてくれてました。
カーニバルの歴史的な設定とか、運に見放された人々のために用意された部分を、細部まで丁寧に再現してる今作品には脱帽です。
舞台裏の映像や、テントで過ごす夜の厳しい現実など、カーニバルが持つミクロの生態系に入り込んでいく。
やがて第2幕やと、新たな舞台が用意され、ここでも、かつてその時代に使われていた建築物の無垢なデザインが華やかに登場。
家具や衣服、ほんでもっての、娯楽の要であるラジオまでもが、その古めかしい佇まいを保ち、スタントンの芸術の欺瞞に満ちた世界に引き込むのに一役買っていました。
まぁ、何ちゅうか、本中華、ホンマにキャストが素晴らしい。
キャストに痺れ、彼らが演技を披露すると食い入って見た。
今作品の主役は、もちのろんブラッドリー・クーパーで、スタントン・カーライルの悲劇的な事件を、これまた質の高い演技で表現することに成功している。
クーパーは、複雑なキャラを演じる技術を習得しているかのようでした。
現実的な人間で、多くの機会に置かれ、どの道に進むか選択を迫られる人物。
このようなキャラの進化は、彼にとって容易なことちゃうのに、求められるすべての感情を見事に表現し、まさに登場人物たちの軸となる存在となっていました。
また、ケイト・ブランシェットは、エレガンスと魅力、そして、彼女の中で醸成されるダークな気質を自然に表現し、彼女にとって心地よい役柄に戻ってきたと云えるんちゃうかな。
ブランシェットの以前の作品からのいつものアンチヒーローの態度は、物語に非常によくフィットし、当時のファッションの素晴らしい外観と並んで、彼女は彼女のキャラに快適にフィットしていました。
トニ・コレットの方は、ダークな物語を得意としているようで、この役はで『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』で見せたリアルなタッチで、『ヘレディタリー』の奇想天外な信念を表現していると云えるかな。
スタントンのキャラをあれだけ左右する潜在的な作品でありながら、映画のような政治的な見方ではなく、ただ生きているだけの自然なキャラである彼女の本作への登場はかなり楽しめた。スタントンと一緒に踊り、また彼女自身の変化が彼女のモラルコンパス(道徳的指針)に負担をかける。
まだ、いるんですよ、今作品にはルーニー・マーラ。
彼女の繊細さと、彼女のキャラを通して生きる姿は見事で、どちらの面でも極端ではない役柄で、彼女の自然な美しさと優雅さが生かされていることに好感を持ちました~ぁ。
もっと彼女の出番を欲したけど、暗闇の中にあるピかぁんと小さな光が好きな人には、彼女の出番が今作品の天使のような性質を描き出してくれると思います。
失礼ながら、今作品の原作を見たわけでも、原作を読んだわけでもないのですが、映画単体としては、細部にわたって素晴らしい企画がなされていると思います。
第1幕では、スタントンが商売を学び、人間関係を構築する。
第2幕では、商売の応用とそれをいかに自分のものにするかを、多くの断片を説明しながらスムーズに散りばめ、直線的な物語を分かりやすくしています。
一方、多くの登場人物の過去も、時にはフラッシュバックの形で、また時には会話の中に自然に放り込まれて、観客に拾わせるように焼き付けられているの。
原作者と脚本家は、この2つの世界をうまく融合させてたし、今作品の文章レベルを非常に楽しむことができたと思てます。
って、感想文を閉めたいけど、デル・トロさんのことも書かせて下さいな。いつものように、このオッサン(失礼🙇‍♂️)は、人間の暗い物語で遊び、ビジュアルもまた、心理的な部分に命を吹き込みながら、これらのコンセプトで踊っているようです。
カーニバルの瞬間を覆う不気味な色彩と不吉なグレーのフィルターから、他の建物がもたらす洗練された自然な照明まで、時には演技よりも照明が物語を語っているかのようでした。
そして、重要な瞬間が訪れたとき、彼は適切なショットと照明パレットを得ることに成功し、シーンの勢いを完全に解き放ち、必要とすることを知らなかった感情を揺さぶってくれました。
ただ、絶賛する裏には、予測可能な展開があったのは残念のとこかな。
また、台詞や格調の高さにもかかわらず、この物語は非常に予測しやすく、ちょっとしたひねりnothing。
ラスト30分には結末が見えていたのに、伏線を張ったことで演出がバレバレになってしまってた。
もう少しデル・トロの介入を期待したのやけど、そのせいで原作から遠ざかりすぎているのかもしれません。。。
でもまぁ、テンポの良さは善き哉。
個人的には、今作品の残念の要素は、
テンポがイマイチやった。
とは云え、は、スリラー的な要素もある人間模様の物語を映像化することで、非常に完成度の高い作品だと思います。
上流社会とその時代の専門用語を、上品かつ重厚な文章で表現し、人間の会話の中に物語を自然に溶け込ませている。演技の面でも、ファンタジーの要素を多く含んでいる善き作品でした。

長々と書いてしまったなぁ。
余談ながら、
ギレルモ・デル・トロは、2022年1月、ナショナル・パブリック・ラジオの番組『フレッシュ・エア』のテリー・グロスとのインタビューで、(この映画で描かれているような)弱く悲しんでいる人々を食い物にする詐欺師や偽のサイキックについて以前から興味を持っていたと、その理由の一つは、1998年に彼の父がメキシコで誘拐されて身代金を要求されたとき、家族はすぐにサイキックと称する詐欺師たちに食い物にされていたからだと語っている。
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