さっこ

ナイトメア・アリーのさっこのネタバレレビュー・内容・結末

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

傑作でした。


本作のオチは因果応報と言われている。
たしかに本作はノワールだが、主人公のやったことは本当に悪なのか?
たしかに因果応報かもしれないがなにかもっと深いものを感じた…🤔

漫画「ブラックジャックによろしく」のセリフでこんなのがあった⤵️
「正しいってのは弱いってことだ。強いってのは悪いことだ」

主人公は元は父親に支配されていて、これって親離れ子離れできていない、引きこもりや「コドオジ」のメタファーでもある。
たしかに罪を犯していないイノセントだけど、それで生きてるって言えるのか?

後半の主人公は詐欺行為を繰り返す悪人となってゆくんだけど、反面、結婚もして自分主体の人生を精一杯生きているとも言えないだろうか。


また、映画で時計が出たら、それは時間、歳月、人生などのメタファーである(東京物語で学んだ🤓)。
本作では父親の腕時計を奪って放浪する。それまで父親に自分の人生を支配されていた主人公が自分の人生を取り戻し、人生がやっと始まった…ということだろう。
(ただし主人公は罪の意識をずっと持ち続ける😔)







本作はエディプスコンプレックスの物語である。
父親を殺し、母親を求めるのがエディプスコンプレックスである。
主人公はアル中のピートにメチルアルコール?を与え、その妻と関係する。

と考えると、その後の展開もわかりやすい。
映画の後半、主人公は心理学者リリス👩🏼‍⚕️と関係し、極悪金持ちエズラ👴🏻と敵対する。
今度はエズラが父親で、リリスが母親という構図だ。
リリス👩🏼‍⚕️が主人公を騙した動機は、過去にエズラ👴🏻と肉体関係があり、そして酷い目にあった復讐からだろう。胸元の大きな傷跡はエズラに付けられたものだと思われる🤔




さらに言うと、エズラ👴🏻は妊娠中の若い女を捨てて、その女が死んでしまったことに罪悪感を持っている😔(こちらも罪の意識)
その女の死因はあやふやにされていて、おそらくエノク👁というホルマリン漬けの赤ん坊はエズラの子供なのではないか?
あれは単眼症という重度の奇形で、生まれてもすぐに死んでしまうらしい。(単眼症でググるとかなりグロな画像が出てくる)

主人公が最後に単眼症のエノクと再会するシーンはなにか呪いのようだった。
エノク👁がエズラ👴🏻の子供だとすると、(構図的には)主人公とは腹違いの兄弟みたいなものだ。年もおそらく変わらないんじゃないか。
主人公=エノクみたいな感じ。
そしてエノクは千里眼的な超能力を持っているように感じられた。

ネットの考察を見ると、エノクの千里眼で見た光景を観客は見ていて、主人公はエノクに操られてエズラに復讐を果たしたのかもしれない…。なんて書いてあったけど、たしかにそんなふうにも思えた🤔




「ドライブマイカー」と「必殺仕掛人・春雪仕掛針」に続き心に刺さる話だった。

人が生きることは罪深いことで過ちを犯すということ。許されるわけではないけど、それでも人は生きていかなければならない。
さっこ

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