TaiRa

ナイトメア・アリーのTaiRaのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
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ギレルモ・デル・トロには150分の映画向いてない。ギラッギラな撮影と美術の雰囲気は100点。

ノワールの再映画化とかする上でよくありがちな、重厚感出そうとして空回りするやつ。男が成り上がってから堕ちて行く定型を長尺でやりたいなら、ストーリーテリングは捨てて瞬間瞬間の強度高めるしかないと思うんだが、今作はそこまで行けてない。オチが見えてんのにもったいぶられてるエピソードトークってキツいじゃん。そういうダルさがある。過程の表現に魅力があれば気にならないんだけどね。デル・トロってそういう大枠よりディティールに魅力があった人なので、勝負するならやっぱストーリーに頼らないタイプの作品だと思う。最近は巨匠になろうとしてる感じが出てるけど向いてないって。前半の見世物描写は楽しいし、こんな金掛けて『フリークス』やれるのはデル・トロくらいだろうと思うので、その点では贅沢。マイノリティの当事者キャスティング云々言われてる昨今ならもっと派手にやっても良かったけど。終盤でブラッドリー・クーパーとケイト・ブランシェットの対立構図が描かれるけど、ブラッドリーがケイトに勝てそうもないのどうなんだ。登場した瞬間から格上過ぎて勝負にならない。あと、表面的には描かれないグロテスクな裏側みたいな要素があんま上手くない。『パンズ・ラビリンス』とかも、描写されない禍々しさとかを描くのが上手かったわけじゃないしな。やっぱデル・トロには『ヘルボーイⅡ』みたいなラブコメアクション撮って欲しいな。
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