ちゃーりー

ナイトメア・アリーのちゃーりーのレビュー・感想・評価

ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)
4.3
☾ 逆さの男 ☽

☾ 実るほど頭を垂れる稲穂かな ☽

「初心を忘れず」と思ったけれど、主人公スタンは物語の開幕時点でこの〈絶対〉的なラストを辿る〈宿命〉だったと、じんわりと痺れる最高に後味が悪い物語でした👂🏻🃏🩸

ラスト30分、物語は急展開。胸の嫌〜なざわつきが止まりません。ここまで主人公の生き様を見届けてきた全員が、まさか.. まさか..... と思うはずです。そしてその全員の予感を最低に面白く(もうこれが最っ高!)恐ろしく、絶対的にさせたところで閉幕となります。

もはや前半は、ラストのための入念な下ごしらえにすぎません。後半、主人公が歩んでいく姿が引きで撮られているカットが多く出てきますが、物語もこれ以上ないひたすらな悪夢へ向かって着々と歩みを進め、準備を終えていきます。それも、誰かが眺めて愉快に操っているような奇妙さで... 👀

ケイトブランシェットのことを、私の推しであるルーニーマーラが “ 冷たい無表情の女 ” なんて言い放っていたけれど、作品自体がまさにその言葉にぴったりでした。
振りかえると、下品な野心でごった返しているはずなのに、奇妙に整いすぎた登場人物たちが、各々の役をきちんと演じているようにすら見えます。

ここから下は、単にきゅんときた俳優陣への賞賛でしかないのですが...(笑)

やっぱり、ルーニーマーラが天使すぎました!ଓ
相手を真っ直ぐには見つめずにはにかむところ、涙がこぼれ落ちるときの頬骨、緊張感のある間の取り方、訴えかける強くも憂いを感じる眼差し(惚れる... 切ないほどにかわいい...♡)
特に、子どもみたいに拍手してはにかむシーン... あんなの反則だろう...!♡
女帝ケイト様の登場後は、もう『キャロル』やん!となんだか期待してしまいましたが、この映画の中で唯一惜しい点といっていいほど、2人は関係性を築きません..

そして朝の目覚め、陽に照らされ、前髪がフサっと気怠そうにかかったブラッドリークーパーが本当に.. 最強に...かっこよくて...🫶🏻
“ 内向的なのに気さく ” と序盤、ブラッドリークーパー演じるスタンは言われていたとおり、圧倒的に開始30分の土や泥が似合う寡黙なスタンの方が魅力的に感じました。(きっとそこには大いに私の好みが反映されていますが...笑)

中盤になってくると、ブラッドリークーパーはルーニーマーラの言うことを大人しく聞いておこうよ!となります(笑)
愛や誠実さを道具にしてはいけないことを教訓にしてくれています。

何より、怪演で名高いウィレムデフォーやトニコレットが出てきた意味を忘れてはいけません...!な作品です。
ラストシーン、最っ高!だったのでスコアを決めました...🖤


追伸: ここでレビューを閉じようと思ったのですが、Wikipediaを見ていたら、なんと!ギーク役でポールアンダーソンが出演していたとは...!知った今、映画のラストと同じような鳥肌です...
『ピーキーブラインダーズ』のアーサーは、酒と薬をやっぱり断ち切れなくて、こうなっちゃったの?と思わずにいられなくて..(笑)
変な心配が止まらないのでもう一回見返します... 今年6本目🫢❤️
ちゃーりー

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