数々のSFやファンタジーを作り、ほとんどハズレの無い高打率のギレルモ監督が、初めて撮ったドラマ。
さすがに技量のある監督と納得できる素晴らしい内容で満足できる作品だ。
見世物小屋などの不気味さはお手の物で、この「ネオ・ノワール」感覚も見どころ。
原作にかなり忠実で、ラストの見事さは原作のアイディアなのだが、それでもやっぱり魅せ方が上手く印象に残るラストシーンだった。
個人的に大好きなウィレム・デフォーとか、ロン・パールマンにもっと活躍してほしかったところだが、その存在感は素晴らしい。
前半、中盤あたりがちょっと冗長な気がするが、終盤の落ちぶれてから、そしてあのラストシーンのカタルシスを上げるためには必要な長さなのだろう。腰を据えてじっくり見ることをお勧めする。
見世物小屋という存在自体が「非人道的」なのだが、私の子供のころ見たTV番組「万国びっくりショー」って、この見世物小屋の雰囲気を持った番組だったなぁ。今じゃ絶対放送できないような内容だったことを憶えている。
それに主人公がやっていた「相手の事を当てる」詐欺も、つい最近まで大手を振って使われていたし、霊媒師などの詐欺師は今でもよく使っているらしい。
まぁ、オレオレ詐欺と一緒で、もうここまでメジャーになったら騙される方にも「無知」という責任がある気がするのだが・・・
ギレルモ節を楽しみながら普通のサスペンスを楽しめる良作。
余談。
2000年頃にたしか「童夢」をギレルモ監督が映画化するって話があった気がするのだが・・・ボツなのかなぁ。
多くの「ジャパニメーション映画化の悪夢」をギレルモ監督なら乗り越えられるんじゃないかと思うのだが。
ぜひトライしてもらいたいものだ。