てっぺい

マーベルズのてっぺいのレビュー・感想・評価

マーベルズ(2023年製作の映画)
3.5
【入れ替わる映画】
最強ヒーローが凸凹トリオを期せずして結成。3人が入れ替わりながら戦う摩訶不思議な映像美が最大の魅力。ラストにはビッグサプライズ。入れ代わり立ち代わり驚愕の展開を見せるMCUの中核をなす一本。

◆トリビア
〇マーベル・スタジオの社長で今作のプロデューサーでもあるケヴィン・ファイギは「私のキャリアのハイライトのひとつは、ブリー・ラーソンをキャプテン・マーベルとして紹介したこと」と熱く語る。
演じるブリー・ラーソンは「スーツを初めて着たときは興奮して、心臓に衝撃が走った。今まで演じたことのないダイナミックなキャラクターを与えてくれた。」と、自身の役者人生にも多大な影響をもたらしたと明かす。(https://marvel.disney.co.jp/movie/marvels/news/20231102_01)
自身は9歳で俳優デビューしており、アルバムも発表したミュージシャン、また映画監督としての経歴もある多才な人物。また「どうぶつの森」や「Fall Guys」などのニンテンドーゲームの大ファンでもある。(https://screenonline.jp/_ct/17664774)
○ミズ・マーベルは、2013年にマーベルコミックに初登場したキャラクターで、2014年に単独コミックが発刊。初のムスリム女性で、10代のヒーローとしても初。(https://www.tsuchiura-central.com/ms-marvel-summary/)
カマラという名前は、ウルドゥー語で「ワンダー(奇跡)」や「マーベル(感嘆)」の意。(https://www.tsuchiura-central.com/ms-marvel-summary/)
演じるイマン・ヴェラーニは、元々アベンジャーズオタクで、実際にグッズに囲まれた部屋の隅々をオーディション見せて主役を勝ち取ったという。(https://www.tsuchiura-central.com/iman-vellani-profile/)
○モニカについて、ブリー・ラーソンは「2人の疎遠な関係は、本作の中でとてつもなく身近に迫る。ケヴィン・ファイギ(マーベル・スタジオ社長)と私たちは、これまでの歴史をすべて踏まえて、この関係がどこに着地するのかを考えたし、初期段階からかなり話し合った」と明かす。(https://amp.natalie.mu/eiga/news/548374)
〇ブリ―・ラーソンとサミュエル・L・ジャクソンは、本作で5度目の共演。ラーソンはジャクソンのことを「地球上で一番好きな友人」と表現しており、自身初の監督作「ユニコーン・ストア」でもジャクソンへオファーを出すなど、彼に絶大な信頼を寄せている。(https://eiga.com/news/20231103/7/)
〇監督はコロナの渦中、友人の勧めで『梨泰院クラス』を鑑賞。パク・ソジュンがヤン王子のキャラクターにピッタリだと思い、直接連絡してオファーしたことを明かした。「多彩な人」と彼への賛辞を惜しまない。(https://topics.smt.docomo.ne.jp/amp/article/sportsseoulweb/entertainment/sportsseoulweb-84686)
○予告で「X-MEN」登場が示唆された本作。ドラマシリーズ「ミズ・マーベル」第2話で、カマラのDNAを調べていたブルーノが、カマラの遺伝子が「突然変異」であることを告げると、驚くカマラのバックでアニメシリーズ『X-メン』(1992-1997) のテーマ曲「X-Men ’97 Theme」のメロディが流れる。(https://virtualgorillaplus.com/drama/ms-marvel-ep6-mutation/)
○ 主人公が3人とも女性であるだけでなく、ヴィランのダー・ベン(ゾウイ・アシュトン)も女性なのはマーベル映画史上初。さらに監督のニア・ダコスタも黒人女性で初めてマーベル映画でメガホンをとる。(https://www.vogue.co.jp/article/nia-dacosta-makes-her-mark-on-marvel-history-with-the-marvels)
監督はMCUの最年少監督でもある。(https://screenonline.jp/_ct/17664774)
〇ミズ・マーベルがキャプテン・マーベル(とスパイダーマン)と共演するコミック『ミズ・マーベル:チーム・アップ』の日本語版が2023年10月に発売された。(https://note.com/shoprobooks/n/nc21ebca7796a)

◆概要
MCU33作品目、「キャプテン・マーベル」シリーズ第2弾。
【監督】
「キャンディマン」ニア・ダコスタ
【出演】
「ルーム」ブリー・ラーソン
イマン・ベラーニ
「キャンディマン」テヨナ・パリス
「パルプ・フィクション」サミュエル・L・ジャクソン
「梨泰院クラス」パク・ソジュン(本作でハリウッドデビュー)
【公開】2023年11月10日(日米同時公開)
【上映時間】105分(MCU映画史上最短)

◆ストーリー
規格外のパワーと不屈の心を兼ね備え、ヒーロー不在の惑星を守るため幅広く宇宙で活動していたキャプテン・マーベル。そんな彼女のある過去を憎み、復讐を企てる謎の敵が出現する。時を同じくして、キャプテン・マーベルと、まだ若い新世代ヒーローのミズ・マーベル、強大なパワーを覚醒させたばかりのモニカ・ランボーの3人が、それぞれのパワーを発動するとお互いが入れ替わってしまうという謎の現象が起こる。原因不明のこの現象に困惑するなか、地球には未曽有の危機が迫り、キャプテン・マーベルはミズ・マーベル、モニカ・ランボーと足並みのそろわないチームを結成することになるが……。


◆以下ネタバレ


◆惑星ハラ
雲に覆われた惑星の画から始まる冒頭。終わってみれば、あれは惑星ハラの太陽であり、雲に覆われていたのはダー・ベンのキャプテン・マーベルに対する恨みの象徴。スプリーム・インテリジェンスを破壊した正義をキャロルが自問自答する中、ハラの太陽を復活させる事でその回答を己に出す。ハラの太陽はキャロルの精神的なキーポイントとしても描かれていた。もっと言えば、ハラの太陽を復活させる手段を助言したのはモニカであり、常に孤独で闘ってきたキャロルが、今作でチームとして共闘・連携する、あの太陽はそんな姿の象徴でもあったと思う。冒頭は、本作でもどの映画でも、常に意味がある。

◆入れ替わり
そんなチームが入れ替わりながら共闘するのが本作の何といっても最大の醍醐味。見ているこちらの脳が錯綜するほど、何が起こっているのか正直ついていけなかったのは笑、映像としてそれだけ過去に見た事がなかったからだとも思う。ダー・ベンとのクロスバトルや、キャロルの部屋でのダブルダッチは、撮影手法が容易には想像できない。終始そんな不思議な映像美を楽しめる作品だった。また前項の通り、その入れ替わりが3人のチームワークに繋がり、人間性が掘り下げられる構成が素晴らしい。“助けられる分だけ助ける”事に葛藤したカマラも、まるで“憧れるのをやめましょう”のように笑、キャロルをサポートしていく姿が印象的。“すぐ戻る”との裏腹な態度にキャロルとの距離を取ったモニカも、自らを犠牲にしてチームのために時空の穴へ。そして何より、“何度でも立ち上がる”鉄の女の印象だったキャロルが、ダー・ベンとの戦いに苦悩する姿、2人と入れ替わりを練習する姿と、彼女の人間らしさが掘り下げられ、前作より一段と彼女の魅力が増した点が素晴らしかった。

◆ラスト
モニカの家にカーン家が移り住み、モニカの生還を信じるキャロルで終わるラスト。ポストクレジットには、ケイト・ビショップが登場、ニック・フューリーを模したようなカマラは“アントマンの娘”も含めた、ついに“ヤング・アベンジャーズ”の結成を匂わせる。(グースがやたらと増えてニャッセンブルした“ニャベンジャーズ”も何気に本作の見どころだった笑)なるほどカマラ演じるイマン・ベラーニが本作の脚本を読んでマーベル社長に興奮のメールを送ったのも頷ける。そして何よりミッド・クレジットのX-MEN。ドラマシリーズの「ミズ・マーベル」から匂わせがあったようだが、ついにパンドラの箱が開いたような感覚。これからまたマーベルの予習・復習の量が増えるようで、いい意味で先が思いやられるが笑、これからどんなカオスが展開されていくのか楽しみだ。

◆関連作品(全てディズニープラス配信中)
○「キャプテン・マーベル」('19)
シリーズ前作。キャプテン・マーベルの誕生秘話であり、ニック・フューリーの誕生秘話でもある。
○「ワンダビジョン」('20)
ドラマシリーズ。キャロルの親友であり、S.W.O.R.Dの創設者マリアが亡くなった事、またその娘であるモニカ・ランボーがいかにスーパーパワーを得たかが描かれる。ラストでは、彼女がニックに招聘される事を示唆するシーンが。
○「ミズ・マーベル」('22)
マーベルオタクの高校生、カマラにスーパーパワーが覚醒。ラストでは、本作に直結するキャロルの姿が。

◆評価(2023年11月10日現在)
Filmarks:★×4.0
Yahoo!検索:★:3.5
映画.com:★×4.5

引用元
https://eiga.com/movie/95009/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/マーベルズ
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