さるたま

マーベルズのさるたまのレビュー・感想・評価

マーベルズ(2023年製作の映画)
4.0
こういうのでいいんだよこういうので。
陰鬱な展開が続いていたMCUだったが、本作は小気味良い「ヒーロー映画」のエンタメ作品に仕上がっていて大満足。

但し、本作は今まで語られなかったキャプテン・マーベルの知られざる部分が描かれる。よって後半は、望まない「強大な力」を持ってしまった普通の女性の苦悩と、暗くて淋しいヒーローの孤独が明らかになる。チート級の力を得ても、自分ではそれが良く理解出来ず、その使い方も決して巧くは無い。良かれと思って行動したが、それが結果を伴わないことも有る。助けたくても助けられない命も有る。そんな哀しい現実に思わず孤独を選んでしまう姿は淋しい。

ただ、その孤独から救ってくれたのがモニカとカマラの存在。疎遠にしていた親友の娘と、キャロルに憧れて自らも力を得た少女の2人。3人でチームを組んで「マーベルズ」になって行く展開は堪らなく愛おしい。女性チームがワー!キャー!!と目まぐるしく入れ替わり、エイ!ヤー!!と立ち回る展開も本当に楽しい。そしてまさか、キャロルにディズニープリンセスの一面が見られたのも眼福だった。

然しながら、物語が非常にテンポ良く進む割には早過ぎて置いて行かれる展開もあり、間のぶつ切り感も多いので粗は目立つ。
また、今回はヴィランも女性で、背負っている救世主的立場も在るため、3対1の戦いには荷が重いとも感じた。

とは言え、コミカルさも際立った明るく楽しいエンタメ作品であり、熱狂していた「あの頃のMCU」が帰って来た!と拍手を送りたい。
特にカマラたち若い世代へのバトンを渡す役割も担った本作は、私にとって愛おしい映画になった。
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