ストーリー面の杜撰さはこれまでのＭＣＵ作品のなかでも随一で、「ここはこういう設定になってるんで、どうか飲み込んでください」と言わんばかりの胡乱な説明台詞の連発に閉口する。
能力を使うたびに三人の位置が入れ替わるという今回のメインギミックも、普通ならば、最初はバラバラだった３人が訓練や戦いを通じて徐々に団結し最後に完璧なコンビネーションを披露するという形で尻上がりに盛り上げていくべきところだが、ドラマもアクションも中途半端で大して強そうでもない敵に三対一で挑むラストバトルは最後まで盛り上がらない。
個人的に良かった点として、今回登場したファンガールヒーローのミズ・マーベルは前作『キャプテン・マーベル』の時点で感じていたキャプテン・マーベルの作劇上の難点、強すぎる、アクションが単調、性格が暗いという問題をまとめて解消する活躍ぶりで好感が持てる。
この映画は良くも悪くもテーマ性が希薄な作品でこういうフラットな娯楽映画で女性が全面に活躍する作品が作られるようになったのはヒーロー映画の一つの進歩であると思うのだが、もう少し全体のクオリティの方は何とかしてほしい。
