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マーベルズのyahのレビュー・感想・評価

マーベルズ(2023年製作の映画)
4.3
IMAX 3Dにて鑑賞。実は本来、同時期公開だったDUNE続編が3週間ものIMAXスクリーン独占契約を結んでいたため、本作のラージフォーマットはドルビーシネマや4Dに限られる予定だった。

ところが俳優組合ストライキの影響でDUNEは公開延期、急遽マーベルズのIMAX 3D版が製作されることになった、という裏話がある。

本作『マーベルズ』は明らかに3D鑑賞を大前提に撮影された構図が多用されており、宇宙に漂うキャプテン・マーベルやクライマックスのモニカ、露骨に飛び出すフラーケンの触手は特に目を見張るシーンだった。
画角拡張シーケンスも豊富で、「IMAX3D版こそがまさに完全版」と言わんばかりの出来。

DUNEの独占契約は正直腹立たしい思いもあった分、これだけ素晴らしい3D映像が無事日の目を浴びたことに感謝でしかない。


🐈🐾

⚠️以下ネタバレを含む感想

本作、巷では評価がハッキリ分かれているようだが私自身は(少なくとも)MCUフェーズ4ではトップクラスの出来だと心から楽しむことができた。

1時間45分の上映時間中、冗談ではなく50分は涙を流すか涙腺をウルウルさせていたのではないか……と思うほどツボにハマる一作だった。

3人が次が次へと入れ替わる複雑かつ斬新なバトル映像は非常に観やすく整理されている。

ドラマデビューのミズ・マーベルと30年の時を経てスーパーヒーローになったモニカ・ランボーは遂に銀幕デビュー。

前作まで「感情移入しづらい」と強く批判され「女性ヒーロー/女性俳優であること」ですらインターネット民に攻撃されたキャプテン・マーベルには、前作→エンドゲーム→今作までの空白の時間を埋めるドラマが与えられた。

キャロルは変わらず「最強のアベンジャー」でありながら「過去や自身の過ちと素直に正面から向き合う」人間らしいドラマが加わったことで、ブリー・ラーソンも表現豊かに本作を演じることができた。

ヴィランとキャプテン・マーベルの関係性も、善悪のバランスが私には心地よかった。

カマラの愉快な家族も宇宙に行ったり、(残念ながら俳優猫が変わってしまったが)グースや彼女の子供たちが狂おしいほどに愛くるしかったのも大加点だ。
生まれたてのフラーケンたちの活躍シーンは「ヴィランを食い尽くす」のかと思いきや、「限られた脱出ポットに乗組員たち全員を乗せる」ポジティブなアイディアに活かされていたのも、涙が溢れたシーンのひとつだ。

また、これはマーベルスタジオの問題点でもあるのだが、酷評されたドラマ『シークレット・インベーション』と製作時期が被ったため「横の繋がり」が非常に薄く、ニック・フューリーも私たちが愛するフューリーそのものであり、あの作品のネガティヴな要素が何一つ入ってこなかったのも思わぬ誤算というか、「助かった…」という気持ちにまでなってしまった。

これからMCUはグッと作品数を減らす、本当に製作する価値があるものだけGOサインを出すとディズニーCEOがつい最近発言したので、明らかにケヴィン・ファイギのコントロール力を上回っているMCUフェーズ4、そしてこれから始まるフェーズ5は良作が増えることを期待したい。


ちなみに私が「1番興奮したシーン」は、なんだかんだポストクレジットだった。
ロキS2完結後のマルチバース描写は否応にもアガるわけだが、まさかここでX-MENのテーマ曲、そして『ファイナル・ディシジョン』と同じ役者を起用したビーストが登場するとは……。

MCU次回の劇場作品は、なんと『デッドプール3』である。『LOGAN/ローガン』で死んだはずのウルヴァリンをマルチバースから連れ出し、客演だらけの新作になるとの噂なので、公開前に改めて様々なマーベル作品(≠MCU)を復習しなくてはと、今からワクワクが止まらない。


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実は本作、Filmarksさん枠でジャパンプレミアに当選していたのだが、インフルエンザに罹ってしまい泣く泣く当日キャンセル。完治するまで観に行けず、すっかり話題に乗り遅れてしまった。

その分、IMAXスクリーンを貸切で楽しめたのは贅沢だったなぁ…。Filmarksさん、その節は誠に申し訳ありませんでした…。
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