シシオリシンシ

マーベルズのシシオリシンシのレビュー・感想・評価

マーベルズ(2023年製作の映画)
3.8
MCUとしては久々のクロスオーバーメインの作品。
とはいえ最低限『キャプテン・マーベル』だけを見ても成立するようには作られており、ファニーでポップな雰囲気の大作然としてない小品映画で久々に気軽に楽しめるMCU作品といった感じに。
しかし今後のMCUのマルチバース・サーガやその先のフェイズの起点となる役割の作品でもあるため、地味に見逃し厳禁な立ち位置の作品でもある。

本作のアクションの見所である入れ替わりアクション。最初は枷でしかなかった入れ替わりが特訓を経ることによっていい感じのチームバトルになっていくのは確かに良かった。あと主人公三人の特訓シーンも女子同士特有のワチャワチャ感が見ていて微笑ましく、チームの結束を描くシークエンスとして楽しくかつ納得できるように描かれていたのも良き。

今回の映画でのキャプテン・マーベル=キャロル・ダンバースの"やらかし"が「良かれと思って惑星の枢軸機能を破壊し、結果惑星は大荒廃した」という全盛期のトニー・スタークもビックリのレベルでヤバかったのはちょっと笑ってしまった。
今回のヴィランであるダーベーンにとってキャプテン・マーベルは母星を荒廃させた諸悪の根源であるので、彼女がキャロルを憎むのは当然すぎるほど当然なのだ。
このこともありキャロルはフィジカルは最強なのに脳筋過ぎるせいで洒落にならないレベルのトラブルメーカーなっているのは「おいおい」と思わなくもないが、これまで掘り下げられなかったキャロルという人の人間味はすごく感じられたので、これはこれで良かったのだと思うことにする。

『キャプテン・マーベル』以来のモニカとキャロルの再会や、カマラの憧れであるキャロルに会えたことの高揚感やチームの末っ子なりにキャロルとモニカの架け橋となる役割を担う姿が描かれたりと、クロスオーバーとして安定感のある展開が多くあったのは良いところ。

ただこの映画、規模感は大きいし惑星から惑星へ飛び回る壮大な筋立てではあるが、良くも悪くもライトな味付けの作品なので映画というよりもTVスペシャルな感じが終始見られたのは少々残念なところ。これはドラマシリーズを追ってない人にも気軽に観てもらうための配慮だと思うが、せっかくのクロスオーバー作品ならばもう少しドラマを追ってきたファンが唸るような「分かる人には分かるご褒美シーン」を入れても良かったと思う。
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