うえびん

椿の庭のうえびんのレビュー・感想・評価

椿の庭(2020年製作の映画)
3.4
眼に、耳に触れ
心に去来するもの

2020年 上田義彦監督作品

藤、椿、つつじ、紫陽花、牡丹、松、笹、すすき…

春夏秋冬、四季折々の花たち

金魚、蜂、カマキリ、蛙、蜘蛛、蝶、蝉、ヤモリ…

家屋の周りに棲む生き物たち

着物、たすき、座布団、おりん、団扇、竹箒、麦わら帽子…

日本情緒を感じさせる物たち

遠く海の波音、セミの鳴き声、玄関の引き戸のガラガラ音、お茶を注ぐ音、落ち葉を掃く音…

郷愁を感じさせる音たち

絹子、陶子、渚、渚の母…

椿の庭の家に暮らした女たち

「この家が好き」
「記憶は、場所や物に宿る」

生涯をこの家と伴にした絹子さん
その生き方と逝き方が印象に残る

空から降る雨、空に浮かぶ入道雲、空に架かる虹、夜空の静寂…

「ただいま」
「おかえり」
「おやすみ」

変わらない天の運行の下
種を蒔き、草を取り、花を摘み、枝を切り、落ち葉を掃く…

地(庭)の手入れと衣食住
人の営みは、引き継がれ、繰り返されてゆく
うえびん

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