バンバンビガロ

情婦のバンバンビガロのレビュー・感想・評価

情婦(1957年製作の映画)
4.8
ミステリー映画としてはこれ以上望めないくらい完璧に思える作品。アガサ・クリスティの原作の良さももちろんあるだろうが、ビリー・ワイルダーによる映像への落とし込みも素晴らしく、非の打ち所がない。何よりも配役がよくてマレーネ・ディートリッヒ、チャールズ・ロートン、エルザ・ランチェスター、タイロン・パワー、ジョン・ウィリアムスと名優ぞろいの上にそれぞれキャラクターが立っていて芝居の面白さみたいなものを実感できる。展開が二転三転するミステリーとしての面白さと、ビリー・ワイルダーのコメディ的な面白さがうまくかみ合っていて退屈な時間が全くない。
事件の真相が明らかになった後、机に残された証拠品のナイフがさりげなく映るところは思わず「あっ」と声をあげてしまいたくなるような絶妙なタイミングであり、その瞬間にこれまでのすべての演出の意図が見えてきて、久しぶりに映画を見る醍醐味みたいなものを味わった。
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