つかれぐま

情婦のつかれぐまのレビュー・感想・評価

情婦(1957年製作の映画)
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旧い白黒作品なのに、4.2という高スコア。なるほどこれは、後進がリメイクを尻込みする完成度の高さ。2時間以内にまとまっている名人芸に👏

遺産目当ての未亡人殺害の容疑者・レナード。なぜか検察側の証人に立ち、夫のアリバイを崩す妻・クリス。レナードを弁護する老弁護士の3人が主な登場人物。この弁護士が狂言廻しになって、ツルツルと気持ちよく話は進んでいく。

この夫妻の間に真の愛はあるのか?
これが事件の真相と絡み見所になるが、老弁護士の人間味あふれるキャラクターが魅力的で、これが映画の奥行を広げる。そのお陰で(劇中で起きる悲劇にもかかわらず)後味は決して悪くないのだ。

ネタバレ厳禁なミステリーだが、本作の良さは謎ときだけに留まらない。妻・クリスの見せるドイツ女性の矜持も良い。当時の欧米ではドイツ人というだけで虐められていたんだろうな。時間は短いが、夫婦のなれそめ=ドイツでの出会いのシーンが上手く機能している。