『アパートの鍵貸します』、『失われた週末』等で多くの賞を受賞し、長年に渡り映画界に携わった、ビリー・ワイルダーが監督、脚本を務めた今作。
アガサ・クリスティの『検察側の証人』を原作としています。
先に結論を言うと、非常に面白かったです。
“結末は誰にも話さないで下さい”とのテロップも流れるのですが、まさに観客をも騙す法廷ミステリーです。
1957年の作品ですが、60年以上も前の作品だとは思えないほど現代的ですし、とてもテンポよく展開して行きます。
現代的だと感じるのは、作品が今になっても色褪せないと言う意味合いもあるのですが、使用されている道具等が非常に凝っていて、そのこだわりの様なものも、この作品が今もなお魅力的に映る理由のひとつなのだと思います。
また、人の描き方がとても面白い点もこの作品の特徴であると思います。
弁護士のウィルフリッドは英国紳士そのものだと思いますし、彼を支える周りの登場人物のキャラクターもそれぞれに特徴があって面白いです。
そして、“情婦”によって動き出す展開と人間関係の絡み合いは、騙す騙されると言う面白さとはまた違った面白さを持っていて、このこともまた現代的だとも感じました。
“愛”と“ミステリー”。
このふたつが絡み合う作品は数え切れない程あるけれど、ふたつを最大限に引き出し、絡め合い、さらに映画としての“こだわり”も加えたことが、ミステリー映画の最高峰と言われる所以だと思います。
観て良かった。