たかり

ファーザーのたかりのネタバレレビュー・内容・結末

ファーザー(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

記憶について
記憶には2種類ある。
陳述的記憶と手続き記憶というもの。
前者は頭で覚えるもの。「1+1=2」が例となる。
そして後者は体で覚えるもの。
「自転車に乗る」「服を着る」そして「頬を叩かれると痛い」など。
陳述的記憶は時間が経つにつれ失われていく。
そのため、順子はスコーンを作るたびにレシピ本を開き材料と量を調整する。
その点、手続き記憶は失われることはない。
体に記憶は刻まれており、自然と行動を起こすことができる。
と思っていたがそうではないらしい。
この映画の主人公アンソニーは末期の認知症で
日々老いていく脳は記憶(思い出)を消去していく。
かつての自分の職業、セーターの着方、そして娘のこと。
忘れる苦しみ。やがて何を忘れたかすら忘れる。
しかし難しいのは、忘れられる方だと。受け止める方が辛い。
昨年、人間のベテランである父型の祖父に会いに行った時、開口一番に「どーも」と挨拶された。
客として招かれ、食事をしながら会話をし、どーにか孫であることを伝えられ、そしてまた客として帰った。
母方の祖母も初期の認知症だ。
幸い俺のことは覚えてくれているが
1個前に話した話をまた嬉しそうに話す。
無限に会話できるんで嬉しいけど泣きそうにもなった。
母の様子を気にする母の様子を見ることがある。
まだわかりかねるがいつかは自分も感じる時がくるのだろうと。
初めて補助輪を外して自転車に乗れるようになった父との思い出は今でも鮮明に覚えている。
もうすぐ父の日。
たかり

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