ぶどう

ファーザーのぶどうのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
4.8
時系列も登場人物も入り乱れて混乱する。これが認知症患者視点と物語が進むに連れ観る側に明かせれていき、衝撃を受けた。

認知症患者を当事者視点で作った映画やドラマなんて今まで観たことがない。
子や介護者など他者視点のものは数多くあるが、それらとは一切、描こうとしている事が違う様に感じた。

本作は徹底して認知症当事者の悲哀を描いている。実際、この病気になった事がない自分には、これがリアルかそうでもないか、は、わからない。
だけど認知症を介護する子や孫など近しい血縁者の苦労や悲しさと同様に、当事者も同じくらい混乱し、悲しく、事実として受け入れ難いものだという事を見せつけられ、なんて残酷な病気なんだろうと暗い気持ちになった。それがぼんやりでもわかっただけで、本作を観た意味がある。
傑作だと思う。
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