おもち

ファーザーのおもちのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
3.6
 認知症がテーマの物語。アンソニー・ホプキンス主演。
 ロンドンで余生を暮らす主人公は日に日に記憶に齟齬が生じさせながらも介護なんていらないと頑固。ある日面倒を見てくれていた娘がパリに移ることになり新たな介護士を雇うことになるが...。

 ここまでがっつり病気を描いた作品はあんまりなかったと思う。ストーリーに関わる記憶の入れ違いなんかはもちろん、持ってるものを無意識に服に入れたり、すぐに他人を疑ったり、笑ってたかと思えば急に怒ったり。アンソニー・ホプキンスがさすがの自然な演技だった。認知症の主人公視点で描かれてるので観てる側は終始混乱、時系列や時間の感覚もおかしくなっていくトリックが満載。
 キャストはとても少なく、出てくる人は認知症に理解のある人ばかりだけど、娘の夫が唯一理解が薄い振る舞い。これもなかなかリアルな事情が醸し出されてたな。自分もついつい怒ってしまいがちで反省。
 最終盤は気づけば養護施設、ここから物語が一気に収束してあぁなるほどなという感じ。伏線も多そうでネタバレを見て二度頂けそうな完成度。

 「私は誰なんだ」「全ての葉を失ってしまいそうだ」という台詞が印象的。周りの人も大変だけど、本人がやっぱり一番混乱していて辛い。この映画で認知症の理解が進み、病院に通えるようになる人が増えたらなと思う。オススメッ!
おもち

おもち