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ファーザーのmのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
4.5
@「すべての葉を失っていくようだ」

恐ろしい。この一言はふたつのことに重ねて言いたい。まずは認知症という誰もが患うであろう症状についての率直な意見。もうひとつがこれを映像化し、演技して、作品に仕上げたこと。認知症の教材になる作品。

これはアカデミー賞取るよ!
主演男優賞の発表時、アンソニー・ホプキンスさん寝ていたという、彼らしいお茶目感溢れるエピソード聞いたけど、起きててよ!取れるって自負して!笑

ストーリーは単純で認知症を患い始めたアンソニー(アンソニー・ホプキンスさん)と娘アン(オリヴィア・コールマンさん)の日々の出来事を綴った作品。それを時系列を弄り、俳優を弄り、と観ている観客が認知症になってしまったように錯覚してしまう仕掛けになっている。

最近、祖母が少し忘れっぽくなっている。耳も聴き取りにくくなっていて、母とそろそろかなぁと言っている。私の中で、私の知る祖母が祖母では無くなってきているのがかなりショックで、日々手探りで接している。大好きだから腫れ物に触るような対応はしたくない。でも、凄くショックなんだ。

認知症を軽くは見ていない。大変だという話もたくさん聞いた。けれど、当事者がどう感じているのかイマイチ分からない。だから、仕方がないね、来る道だよ、としか言えなかった。
今作はフィクションだから本当にこれがすべて認知症の症状だとは思えないし、鵜呑みには出来ない。もっと大変なのかもしれない。
けれど、今作のおかげで当事者が凄くパニックになっているのだというのは理解出来た。寄り添いたい。認知症をより知りたい。そう思えたのは今作のおかげだと思う。

アンソニー・ホプキンスさんの演技はえげつなく目を見張る。舌を巻く。素晴らしい。
また、認知症に振り回される娘アンを演じたオリヴィア・コールマンさんの演技もピカイチだった。
オリヴィア・ウィリアムズさんもよかった、とても。

圧倒されるとはこういうことだろう。
凄まじい。

ストーリー : ★★★★★
映像 : ★★★★★
設定 : ★★★☆☆
キャスト: ★★★★★
メッセージ性 : ★★★★☆
感情移入・共感 : ★☆☆☆☆
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