ラピュタん

ファーザーのラピュタんのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
5.0
こんなに泣かされた映画は…
嗚咽を禁じえず…
しかも何度も…

シカモ最後は雷に打たれる⚡️

忘却の彼方へひとり歩む
アンソニー・ポプキンス
彼の神々しい演技を静謐な
スリラー仕立てでいただく傑作

これは長寿という宿命を背負う人類すべてに捧げられた鎮魂歌
不穏な雰囲気が終始漂っています

認知症になって全てを失っていくことはとても過酷な過程ですが、それは主人公アンソニーの長い人生においてじつは最悪なことではなかった…と思える含みも残されていて、それがひときわ切ない


現在の日本の状況より数段よいのでは?と思える介護のあり方(余裕があるように見える)は羨ましく感じました 

本作は、あくまで冷徹な観察眼により可視化された心理劇なのですが

おっと、羨んでいるだけではいけない!わたしたちが作っていかないと!

どうやって??

核家族が極まり・・・
下の世話など想定外・・・
介護離職や老々介護・・・
悪いことしか出てこない😱


家族で揃って観れたら、最高でしょう
高校生はすでに必修となっています
大学の卒業序列には、この映画で流した涙の量が反映される見込みです
お酒と煙草を手放せない諸氏へのお節介
 配偶者と観る前に予習しておきましょう
(高血圧、糖尿病、運動不足、肥満、タバコ、
 お酒…が認知症リスク↑)


⭐️娘役のいぶし銀のような名演も
 オリヴィア・コールマンさんの演技も素晴らしかったなあ!
⭐️ 病気についての解説はありません
 見て体感できるのですが、そうは言ってもある程度の知識を前提とした大人の映画
⭐️認知症のリアル、動揺と不安…
 名演により手に取るように分かりました 
 そもそも前後の脈絡から短期記憶が結像するのが時間、それは元来知覚できないパラメータ…なので最初にやられるもののひとつなのでしょうね(体内時計はあっても、何時とか何日は分からない)
⭐️さすがの英国製ドラマ
 家の中、パジャマやジャージで過ごさない
 やがて自分も、休日にワイシャツを着ている
 じいじになりたい…ってこともないか💧
⭐️ アルコール🍶はいけませんネ
 神経に毒性があるのに容易に脳に到達してしまうし😱🍷
⭐️ラストシーンは…
 まさに現代のピエタ、でした
⭐️ 音楽もマッチしていました
 マリア・カラスによるCasta Diva
 (オペラ ノルマより)
 Einaudi(ピアノ)とヴィオラとチェロの
 三重奏が効いています
⭐️ あくまで優れた心理&会話劇です
 汚いものや、身体的障害の描写はないので、麻痺を伴う認知症みたいな凄惨さはないので、安心して思索に専念しつつ味わえます
 
⭐️何度でも、何年でも味わえます
 噛めば噛むほど系🧡
ラピュタん

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