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ファーザーのiamのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
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認知症を題材にする映画やドラマは、患者の家族に焦点があてらる場合が多いように思う。
反対に患者側がどう病気と向き合っているかを表現したものはなかったようにおもう。
というよりは、つくろうにも、本人にインタビューをするわけにいかないから、つくれないのだろう。
だからこの映画もあくまでも作者が想像する患者の視点であるということを前提として考えておくべきだと感じる。
作りものだとわかっていても、すごかった。
時間軸、空間、すべてがスクランブルエッグのように錯乱している。
なんと言えば表現できるだろう。
物事を直線で結びつける能力を丸ごと奪われた感覚。
結びついていると思ってたものが、なにも結びつかないし、繋がっていたはずのものがいつのまにか繋がりを失っていたりする。

理解できないものを前にすると、苛立ち、怒りを我慢できなくなるかもしれない。映画に出てきたあの男のように、ひどい言葉を発してしまうかもしれない。
認知症をほんとうの意味で体験することはできないからこそ、この映画に出会えてよかった。
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