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ファーザーのsaboのレビュー・感想・評価

ファーザー(2020年製作の映画)
3.9
鑑賞日2023/03/03

アンソニーは81歳の高齢、お気に入りのフラットで独り暮らしをしていた。
父を心配した一人娘のアンは介護人をつけるが、当のアンソニーは“一人で出来る!”と言い張って介護人を受け付けない。
ある日、アンソニーが紅茶を入れていると玄関から物音が。
アンが来たのかと思いアンソニーが見に行くとそこには見知らぬ男がいる。
聞けば男はアンの夫のポールで結婚して10年になり“この家”に住んでいるという。
アンは独身で、この家は自分のフラットだ。癇癪を起こすアンソニーとなだめるポールの元へかけつけたアン。
だがそこに居るのは全くアンソニーの見知らぬ女性だった。
何かが起こっている。いったいこれは何の茶番なのか?
困惑するアンソニーを翻弄するかのように事態はさらなる混迷を極めていく。
果たして真実は……

※本作は可能な限り予備知識無しでの鑑賞をオススメします❗(*-ω人)✨

❗感想(ネタバレ含む)❗
(・∀・)こんちゎ♪
今回は『Father』アンソニー・ホプキンス主演の映画ということで鑑賞してみました。

まずこの映画を一言で言うなら『失われゆく物語』です。
(´;ω;`)💦ツラいです。。
そして純粋に怖い。。
この映画はリアリティを求め主人公の名前や生年月日まで、実際にアンソニー・ホプキンスと同じにしてあります。
そして段々と認知症が進行してい様子がアンソニーの目線から描かれています。
本作のアンソニーは頑固で、でもユーモアもあるチャーミングなおじいちゃまなのですが、ラストシーンではもう堪らず号泣しました。
記憶が一つ消えまた消え、言葉が消え、大切な人も忘れ、だんだん自分自身まで失っていく。
それはまさに手にすくった砂が指の間からこぼれ落ちていく様などうしようもない絶望感。
ビゼーのオペラ『真珠採り』の“耳に残るは君の歌声”がさらに哀愁を誘います。
人は全てを忘れても、最期に歌が残ると言いますからね。アンソニーの大切な思い出の曲なのでしょう。

私事ですが10年ほど前に亡くなった祖母が晩年中々のレベルな認知症を患ってました。
夜中にトイレに行こうと起きると玄関先におめかししてチマっと座ってるばあちゃん。
『何してんの?』と聞くとデイサービスのお迎えを待っていると言う。私は何となくばあちゃんは本気なんやろなぁ、、と思って『ちょっと確認したげるわ』と言って、電話をかけるふりをして『今日はデイサービス中止なったやって』と言うとそうかね、と言って部屋にトボトボ戻って行ったばあちゃん。。
今にして思えば、色々わけが分からなくて、でも本人なりにきちんとしようとしてたんだろうなぁ…と、そんな事も思い出されまして切ないです。

誰も悪意なんて無くて、病気や高齢でどうしようもない。介護する家族も介護される本人も疲弊する。報われない。
けど自分の親のことや自分自身の事もと考えると、まだまだ他人事ではないです(´・ω・`)
私は一人っ子、そして私の娘も一人っ子。。
嗚呼、絶望orz(苦笑

なんとなくこの映画きっかけでお年寄り作品色々見てみたので暫くシリーズでレビュー書いてみるです♪

後学のために、皆様も是非☆

ストーリー:3.8
音   楽:4.0
キ ャ ス ト :4.0
ビジュアル:4.0
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