ゴン吉

キネマの神様のゴン吉のレビュー・感想・評価

キネマの神様(2021年製作の映画)
4.0
借金、ギャンブル、アルコールをやめられない老人の生き様を描いたヒューマンドラマ。
   
山田洋次が監督を務め、沢田研二が主演、宮本信子、菅田将暉、永野芽郁、北川景子、寺島しのぶ、小林稔侍らが共演。
松竹映画100周年記念作品。 

ゴウ(沢田研二)は、妻(宮本信子)や娘(寺島しのぶ)、孫(菅田将暉)と一緒に暮らしているが、家族が自分の借金とりに脅されても笑い飛ばして借金を重ね、ギャンブル依存・アルコール依存・家族依存を止められない。
ゴウが年金と給与のすべてをギャンブルにつぎ込むため、妻子はそれらのお金を預かることにする。
その後もゴウは妻や娘はもとより孫にまでギャンブルで使う金を無心するが、誰も貸してくれない。
仕方なく旧友のテラシン(小林稔侍)が社長をしている映画館”テアトル銀幕”を訪ねると、自分が若いころに助監督を務めた映画”花筏”の試写が始まる。
若いころのゴウは、撮影所近くの定食屋の娘(永野芽郁)や映写技師をしていたテラシン、人気女優の桂園子(北川景子)と仲良しだった。
しかし、初監督作「キネマの神様」のクランクイン日に先輩監督と喧嘩をした挙句、撮影中に転落して怪我をしてしまう。
自分は監督に向いていないと悟り、撮影の仕事を辞めて田舎に帰ってしまう....    

山田洋次監督はダメな人間を主人公にした作品が多いが、本作でも借金まみれのギャンブル好きなゴウがクズでイライラする。
豪華クルーズ船の新型コロナウイルスの集団感染やコロナウィルスで他界した志村けんの”東村山音頭♬”、緊急事態宣言、ソーシャルディスタンスなどに加え、”人生100年”などの時事問題にもふれている。
さらにはコロナ禍による映画業界の危機も訴えている。
一方で、本気で縁を切りたいと思っていた失業中の娘や迷惑ばかりかけていた奥さん、定職につかない孫との家族ドラマも描かれており、山田洋次監督らしい作品です。
終盤、キネマの神様が大活躍で涙を誘います。
「その父の願いを きっと キネマの神様がきいてくれたのだろう」 

2023.3 NHK BSで鑑賞(BSプレミアム) 
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