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わたしは金正男を殺してないのeulogist2001のレビュー・感想・評価

3.6
金正男のクアラルンプール国際空港での暗殺については、国際政治の闇があからさまに見えてしまった。結局は国益優先で政治どころか司法までも動く。その狭間で犠牲になるのはいつも弱者だということも。

今回のケースでは、インドネシアとシンガポールとの関係が幸運に作用してシテイの起訴の取消しに繋がり、その流れでベトナム人のドアンも傷害罪への変更という妥協を促した。

それにしてもシテイとドアン。彼女たちの個性もなかなかのもの。たしかにドアンはシテイが釈放された時の憔悴しきった表情から一転、自分が帰国する際には派手な化粧や服装、サングラスまで身に付けていて有名人気取りとしか思えない豹変ぶりだった。これはSNSで叩かれても致し方ない気がするw

その分、シテイの人の良さや明るさが際立った。当たり前なのだが、冤罪の構造の中にあっても被告人の人間性によって風景は大きく変わるのだ。

※それにつけても北朝鮮の工作の計画性には驚愕。本当に用意周到だし、抜け目がない。国家が犯罪を行うということの意味もわかる。国家が行う犯罪は、常に「完全犯罪」を主眼としている。
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