幌舞さば緒

ライド・ライク・ア・ガールの幌舞さば緒のネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

オーストラリア競馬界のプリンセスと、その家族の実話を元にした物語。メルボルンカップはオーストラリアでは授業を中断してクラスみんなで観戦する学校もあるほどの国民的なイベントとのこと。普段、競馬は全くやらないけど定期的に見返してしまう映画。


台詞メモ

メルボルンカップは競馬界の〝聖杯〟で世界中から注目を浴びる。3200メートルで競うこの極めて過酷なレースはあらゆる騎手にとって夢の舞台である。

ミシェル・ペインは生後半年の時、母親を交通事故で亡くしました。父親のパディは16歳をはじめとする10人の子供を育てることになりました。

「スティーヴィーと私のチビ2人組はいつも一緒に遊んでた」

「子供が10人だよ。想像つくだろうけど、ママもいないしそりゃもう大騒ぎだった。馬小屋の手伝いの他それぞれに割り振られた仕事があった」

10人中8人が騎手

「一番大変なのは?」「体重管理かな」「騎手が夢だった?」「昔からね」「他の職業は?」「考えたこともない」「どんな騎手に?」「メルボルンカップで勝ちたい」

「シャベルで何を?」「ママを掘り起こす」「よしなさい、おチビさん」「ママがいれば意地悪されない」「ママはいるよ。天から見守ってる」「ママは天使なの?」「そのとおり。生きてる時からな」

「神様どうかパパとブリジッド、マーガレット、パトリック、テレーズ、バーナデット、マリー、キャシー、一応アンドリュー、ウィルバーや馬たち、ママをお守りください」「アーメン」

「メルボルンカップの前は皆緊張する」「でもオッズが」「ただの賭け事だ。気にしなくていい。大切なのは自分がつけるオッズだ」「パトリックなら勝てる」「ありがとう」

「最初は先頭だったのになぜ最下位に?」「ペース配分を間違えたからだ。それがメルボルンカップだよ。順位が入れ替わる。つまり最下位から優勝する可能性もある」

「出走する前にコースを歩け。芝の表面がならされる前に窪んでいる場所を記憶するんだ。触ってみろ。感触は?」「湿ってる」「あの辺は?」「硬い」「つまり?」「速い」「そうだ。何枠スタートでも地面が硬い部分にすぐ出るんだ。戦い方は地面に書いてある」

「馬は肺で疾走し、心臓で耐え、気持ちで勝つ。スピードだけの問題じゃない。大事なのは忍耐だ。囲まれ。息もつけずダメだと思っても諦めるな。周りの馬は順番に疲れを見せ始める。すると突然目の前に隙間が開く。神の声をよく聞け。でなきゃ隙間はあっという間に閉じる」

「隙間を見過ごすと女は臆病と言われる」「力の勝負だ」「最後の100メートルに力を残せ」「大事なのは力より姿勢よ。鞭に頼らず首と手のひらの下で押すの」「隙間に入って負けたら女には技術がないと言われる」

「いいか、忘れるな。隙間が開くのを待て。それが勝つ道だ」

「隙間は見えた」「でも入らなかった」「入れなかった。追いつけなかったの」「才能がないのかもな」

「引退する」「どうして?」「ケリンと結婚する」「でもなぜ引退を?」「3000戦以上出走したし、早朝から馬に乗るよりやりたいことがある」「おめでとう!」

「10ドル賭けた」「ありがとう」「複勝でね」

「大丈夫だよ。やあ、落ち着いて。調子はだう?いい子だね。勝てるよ。いい子だ」「勝手に触るな」「気にしないで。僕はダウン症だ」「馬が好きか?」「嫌いな馬もいる」「扱い難い馬もいるよな。その子は?」「寂しそう。でも気に入った」「名前は?」「スティーヴィー・ペイン」「パディの?」「息子だよ」

「他の娘たちと同様キャシーは母親に似て美しい。ここに妻がいたら…とにかく新郎新婦に乾杯を。さあグラスを持って。ケリンとキャシーに。この場を借りてもう1人祝いたい。私の知る他の誰よりも努力を重ね、その努力を実らせた…スティーヴィーです。ダレン・ウィアー氏の新しい調教施設で働くことになったんです。スティーヴィー!よくやった。誇りに思うぞ」

「やっといい馬に乗れるの。G1の話はいつも男に持っていかれる」「見習い騎手の宿命だ。俺も10回は涙をのんだ」「私は100回よ」「いずれ折れる」「それはない。パパは頑固で自分勝手だもの」「お前は母さんに似てるつもりか?」「パパは私に牧場を手伝わせたいのよ」「そんな理由だと?二度と娘を失いたくないんだ」

「お見事。よく頑張ってるが、また頭を打てば命が危ない。頭は何としても守って」「いつから乗れます?」

「冗談でしょ。結婚して子供を作れば?」「競馬は最も危険なスポーツよ」「一生体が麻痺したら誰が世話するの?」「僕がやる」「ミシェル、私は関わらない。レースに出してもし何かあったら…」「じゃあ何?末っ子としてみんなに従えって?」「従ったことないだろ」「姉さんたち夫に引退を勧める?」「ねえ、パパも止めてよ」「止めようとしたが失敗した。無駄だよ。おチビさんが心を決めたら誰にも止められないんだ」

3200戦 361勝 落馬7回 16か所の骨折の後

「お馬さん、そこで何してるの?どうしたの?ねえ、どこが悪いの?」「プリンスオブペンザンスだ。君より怪我が多い。君が現役なら試してもらえた」「現役よ。休んでるだけ。あと1ヶ月で復帰する」

「ダレン、調教のために毎日ワーナンブールに来る。どうしても乗りたいの」「ミシェル、君は頭蓋骨を折った。背骨や両肘、首もだ。無傷な部分があるか?」「勝つ力よ」「スティーヴィーの部屋に泊まれ。乗らせるとは約束はしない」「後悔させないわ。ミスター・ウィアー」「ミスターはやめろ」

「お前が家庭を持つのを見届けたかった。姉さんたちのようにな」「運命の相手は見つけた」「お前にふさわしい奴か?」「もちろんよ。プリンスなの」「脚は何本だ?」

「ミシェル、父さんが死んだら僕はどうなるの?」「私がついてるわ」「彼氏がいないから?」「違う、違うわ。おバカさん。スティーヴィーは私の親友だからよ。家を建てましょ。馬をたくさん飼うの。厩務員をお願いね」「ミシェルが死んだら?」

「裁決委員も医者も何も分かっとらん。プリンスを勝ち取れ」

「処分は済んだ。危険を冒し、出走権を勝ち取った彼女に懸けたい」「この馬には治療費で大金を注ぎ込んだ」「腹部の手術も」「もう6歳だし元を取る最後のチャンスだ」「1…着に入らなければ大損になる。女性騎手ではメルボルンカップで勝てない。最後の100メートルは力の勝負になる。彼女は無謀だし、だから騎乗停止に」「今まで気に入ってくれてた。なのになぜ降ろすの?なぜ?」「あの馬にチャンスをやりたいだけだ」「ほぼ全レースで私が乗った。プリンスと通じ合ってるの。乗らせて」「あのレースに勝つには力が必要だ」「勝つのに必要なのは力だけだと思う?とんでもない。乗る馬の個性を理解すること、それにコースを読む技術、そして何より忍耐が必要なの。違うと思う?だったら皆さんは愚か者だわ」「世界一になるために必要なのは…あの勢いだ」

「プリンスオブペンザンスのオッズは?」「勝利はあり得ない。オリヴァーやデットーリに女性騎手は勝てないよ。だが自由に賭けて」「イーチウェイ(単勝複勝セット)で彼女に5ドル」「オスですよ?」「分かってる。騎手に賭けるの」「5ドルね。無謀な女性は好きだ」「10ドルにするわイーチウェイね。やっぱり20ドル単勝で。どうも」「おはよう、シスター」「プリンスオブペンザンスに148ドル55セント単勝で賭ける」「元生徒?」「どうも」

「オッズは?」「101倍だ。女性だからな。10着までに入ればいい」

「こんにちは、いい子ね。プリンス、凄く綺麗よ。…スティーヴィー、勝てるかな」「この馬ならね。チャンピオンだもん」
幌舞さば緒

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