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チィファの手紙のmanamiのレビュー・感想・評価

チィファの手紙(2018年製作の映画)
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もととなった短編『チャンオクの手紙』鑑賞済み。原作小説も既読。今作の後に作られた『ラストレター』も鑑賞済み。(ついでに『ラブレター』も何度も鑑賞)というわけで、ようやくの鑑賞。
タイトルになっている之華(チィファ)の、初恋の相手は尹川(インチャン)。でも彼が好きだったのはチィファの姉である之南(チーナン)。彼らが中学生時代に体験した切なく歯痒い出来事たちは、国が違ってもやはり甘酸っぱい共感を呼び起こす。
自分の好きな人が自分のことを好きになる、そんな奇跡が起こるのではないかと舞い上がる気持ちと、そう都合良く事は運ばないと悟ったときの絶望感と。チィファ達が過去を振り返るのと歩調を合わせるかのように、大人になってからとは全く違う感性で様々な感情を受け止めていた、自分自身の十代の頃にも思いを馳せることとなる。
そして今まさに十代の真っ只中にいて、「チーナンの手紙」によって話を複雑にし、その一方で話を進める役割も果たすのが、チィファの娘・颯然(サーラン)とチーナンの娘・睦睦(ムームー)。岩井俊二作品のレビューで何度も書いてる気もするけど、美少女をいかにも美少女らしく撮ることに、彼は本当に長けている。
原作小説や日本版映画『ラストレター』と違う点。まずチーナンの息子・晨晨(チェンチェン)はキャラも含め原作通りの設定で描かれている。チィファの夫もほぼ原作のままのエキセントリックな人物で、『ラストレター』に比べてこの二人の存在感が大きくなっている。
扱う人物が広い分、こちらの方が一つ一つのエピソードが浅くなり、作品全体として淡白な印象を受ける。
そしてチィファ役のジョウシュンが永作博美に見えて仕方ないし、インチャン役のチンハオに福山雅治感はなくむしろトヨエツ風で、なんなら時々なだぎ武。

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