こつぶライダー

泣きたい私は猫をかぶるのこつぶライダーのレビュー・感想・評価

泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)
3.6
思春期の男女の成長物語を"お面を被ると猫になることができる"という設定を活かしながらファンタジーとリアルを融合させて描いた傑作!
あ〜私も猫になりたいにゃあ。


少年少女の心ってのは揺れ動きやすいし繊細だ。背景にあるのは多感ゆえの悩み。
恋だけじゃなくて、家族背景とか将来のこととか、ちょっとしたことが膨らんで、自分の全てを覆いこんでしまう。

主人公のムゲは、突飛な行動をすることで周りから距離を置かれている。しかし、そのキャラクターは本来の自分の姿を隠すためのフェイクだった。
幼い頃に母親が出て行き、父の再婚相手とは上手くいかず。唯一の親友にも悩みを明かせないまま、彼女は"猫をかぶって"生きていた。

そんなときに出逢った日之出賢人。
彼に恋をしたムゲだったが、なかなか想いは届かない。彼と近づくため白猫になるムゲ。


人間には外面と内面があるもんだよ。
ムゲと賢人、それぞれに悩みがあり、外面・内面が違ってる。
繊細な心の動きを丁寧に描いたのは、脚本家・岡田麿里。『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない』『心が叫びたがってるんだ』等のヒット作を産んだ。
最新作『アリスとテレスのまぼろし工場』では、監督としても活躍。要注目です。


後半の猫の世界のくだりは『猫の恩返し』と『千と千尋の神隠し』を合わせたような内容でした。
ストーリーとアニメーションともにオリジナリティという部分で見ると既存のフォーマットで仕上がった作品という印象。
大変素敵な話ではありましたが、少しパワー不足は否めず。
こつぶライダー

こつぶライダー