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コレクティブ 国家の嘘のryodanのレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
4.0
作品のクオリティは???が結構ある。が、やはり国の腐敗ぶりを暴く過程はスリリングだ。見ていて、ニュースキャスター故筑紫哲也氏の話をよく思い出した。沸騰している水槽の中にカエルを入れると、カエルは熱湯の熱さに敏感に反応し、そこから逃げ出そうとする。しかし、水をゆっくり加熱している水槽の中にカエルを入れておくと、カエルは熱の変化に気付かず死んでいく、という話。実際にそうなるのかは不明だが、言わんとしている事は分かる。ルーマニアの医療腐敗は自分にとってはまさに熱湯そのもの。ウジ虫の湧く病院なんて聞いたことがないし言語道断だ。しかし、この歴史的にも根深い腐敗はルーマニアの人々にとってはぬるま湯な、腐敗あるあるなのだろう。医療現場にいた大勢の人々が問題発覚まで黙っていた、今まで社会問題になっていなかった、その他大勢の腐敗の一つだったのだから。この作品はジャーナリストの活躍や若手政治家の奮闘振りを評価する作品ではないと思う。国や企業や家庭の中で起こる不正を現場が常態化させてしまうという問題だ。これはどこの国でもどこの現場にも起こる。起こり得る、ではなく起こる。何かに流されたり何かに取り込まれたり、見なかった事にしたり。。。自分が黙ってしまう事が腐敗を招く一因になってしまう。日常の中でそんなに緊張感持つ事って必要??って感じる人もいるかもしれない。でもその緊張感が政治に対する敏感度だったりするんだと思うんだよね。日常を作っているのは政治だし、その政治の是非を決めるのもウチらなんだから。
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