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アシスタントのnamのレビュー・感想・評価

アシスタント(2019年製作の映画)
4.0
これは映画じゃなくて現実だ。
そう思って前半は絶望しかけたけど
最後まで観て、観終わった瞬間
「なんてすごいものを観たんだ」と久々に思った。

エンタメ業界の華やかさを1ミリも感じない
オフィスでのとある1日。
地味な雑務に、キツい言葉に、
誰も味方じゃない孤独に。
「一緒にモノづくりしよう」なんて顔して
君の意見は聞いてないと言わんばかりの実状。

最初は、ただただ辛い映像を見せられて、思い出して苦しくなるだけで、
アメリカもこうなの?日本の小さい制作会社だったからじゃないの?みんなそうなの?って、エンタメ業界で働いた人の中では共有できる痛みはあったけど、
それって既にこの気持ちをわかってる人が共有するだけで、他者に伝えることがエンタメとして映画じゃないんか?と思ってしまいました。すみません。それ以上のものがありました。

匿名を意味する、ジェーンという主人公は
魅力的で優秀で、きっと映画がすごく好きで仕事熱心でパワフルな人。
この物語は匿名を意味しているこの主人公だからこそ、性別も関係なくて、新人の扱いを表している。
ただ新人というだけで
その人となりを見ていない
昔は自分も新人であったんじゃないか?
そう思うのに、
私が何かを成したことは見ていなくて
全て自分の評価になり
新人というだけで全てなすりつけられる。上司のミスも。そして何かにつけて怒られる。
それも自分の中で、理由をつけて、これは怒られないといけないんだと納得させる。
ジェーンのように。
ようやくだ。
これがおかしいことだと、声を大にして言えるんだ。ようやく。
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