ひろゆき

アシスタントのひろゆきのレビュー・感想・評価

アシスタント(2019年製作の映画)
3.3
銀幕短評(#706)

「ジ・アシスタント」
2019年、アメリカ。1時間27分。

総合評価 66点。

裁量の発揮、達成感、貢献感、成長感、周りからの称賛、

そういうものが 日々(ひび)の糧として得られないのであれば、それは血のかよった「労働」に値せず 機械作業と同等である。と、「カンパニー・メン」の回で書きました(あの映画おもしろいですよ)。残念ながら、彼女の場合 ほぼ機械作業のレベルにとどまっている。高等教育を受けているのに。それを解決するには、いったいなにが必要でしょうか? これは議論するとおもしろいテーマですね。ひとによって考えが かなりことなるから。

最初、アシスタントとセクレタリ(秘書)と どうちがうのか、という疑問が湧きましたが(駐米時代、わたしには秘書がいたので)、映画の進行とともに だんだんわかりました。アシスタントとは ただただ「雑用係」なんですね。ほかのひとが いやがる仕事を割り振られて、それらを淡々とこなしていくことが 彼女の仕事です。しかし、そうであっても 工夫すれば、裁量や達成感や貢献感や称賛を そこに見出すことは可能なはずです。では、彼女にそれらが欠けるのは なぜか? なぜ彼女は不幸なのか?

財(モノ)やサービス(役務)を たがいに交換することが経済の常ですが、それらの価値が(主観的に)つりあい、取引の双方が合意して成されるのであれば、それは正常な経済行為だといえます。いわゆる等価交換ですね。そのひとつを、意味ありげに この映画は取り上げていますが、その表現を見るかぎり正常な経済取引のように思います。とくに問題はないでしょう。あるかなあ。ちょっと断定できないですね。

内部通報制度。これは組織において 不正の発生を抑止する(あるいは発生した不正を発見し対処する)ための強力な手段(ツール)であり、効果的に使えば いろいろな問題の解決に役立ちます。しかし、制度をうまくデザイン(設計、整備)し、運用しないと、その機能は きわめて簡単に無効化されます。ここはあたまの働かせどころですよ。理詰めで かんがえないといけない。しかし それらを語りだすとながくなるので、ここでは切り上げます。

あと、ボイスメール。これも長くなるので、触れません。最近 アメリカでも つかわないのかなあ。

ちょっと陰気で憂うつな映画ですが、大笑いするシーンが たったひとつあったのは救いですね。カメラづかいは すてきですし、音楽もいい映画です。スレスレですが、及第点をあげましょう。


追記
「SHE SAID」の感想文をご参照ください。
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