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ライムライトのFのネタバレレビュー・内容・結末

ライムライト(1952年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

映画、舞台、アニメ問わず、これまで観てきた作品の中で好きなものに共通するのは「思い切り笑えて泣ける」という点。
なのでチャップリンの作風には大いに関心があったものの、これまでちゃんと観たことがあるのは「独裁者」くらいだった。確定申告のお供に流せるものはないかと番組表を眺めていたら見つけたので鑑賞。
結果、確定申告どころではなくなった。もう目から鼻から水という水がとめど無く流れてきます。花粉でもこうはならん。

かつて人気を博していたが今では下火な往年のコメディアンという役どころは、チャップリン本人の背景と重ねずにはいられない。空席の客席を見つめる時、かつての同業仲間との再会を喜び合っている最中「道化の役者がまずいそうだ」と言われた時のカルヴェロの表情に胸が締め付けられた…

バレリーナとコメディアン、芸事に身を費やす者同士でしか分かり合えない感覚。
男女でも、歳の差を気にしないとしても、芸に生きる者同士普通の男女らしい恋愛とはいかないんだろうな。愛しているし舞台に立つ者として尊敬しているけど、相手の成功が妬ましくなったり情けなくなったりそんな自分が嫌になったり…


この話はどこに着地するんだろう、2人とも幸せになってほしいけどきっと2人が一緒になることはないんだろうな…と思いながら観ているところで「背骨じゃなく心臓だ」
急転直下とはまさにこのことというか、さっきまであんなにゲラゲラ笑っていたのに思わず息を呑んで口を押さえてしまった。すごいこの急カーブ…脳がぐわんぐわんした、辛い展開なのに作品に飲み込まれ翻弄される感覚にアドレナリンでまくってる自分もいる…心がふたつある〜

ラストの展開は辛すぎて…
でも、もう芸人として死んだも同然と思っていた中最後にまた喝采を浴びて、愛するテリーの晴れ姿を観ながら、言うなれば舞台上で生涯現役でその人生の幕を閉じたわけで。
カルヴェロは幸せだったんだろうか…

「ライムライト」=電球が普及する以前使用されていた舞台照明、転じて、名声のことだそう。
これ以上のタイトルはない。
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