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ライムライトのTPのレビュー・感想・評価

ライムライト(1952年製作の映画)
4.1
★1988年に続き、2回目の鑑賞★

 老道化師カルベロが精神が原因で脚が動かなくなったバレエダンサー、ケリーを力づける数々の名言が、この映画の白眉。
 また、親子以上に歳の違うカルベロを愛するケリーの気持ちもとてもよくわかり、今でいえば親子程度の歳の差のカルベロがツンデレ対応をするのに少々違和感があるのだが、感動的なストーリーの、良い映画であることは確か。

 ただ、客観的な評価をすると、35年前に感じたような評価(5)をつけることは憚られるというのが正直なところ。
 その理由は、当時のチャップリンのアメリカにおける立ち位置(政治的活動に対する批判的意見が相次いでいた)を背景とした、言いたいセリフが先走っている点が第一に考えられる。
 学生の頃には、その違和感よりも言葉自身の持つ力に感銘を受けたものが、歳を重ねた今では、映画の中のセリフとしてはどうしても浮いているように感じられる。

 また、正直なところ、途中で挟まれるカルベロの舞台シーンがいまいち面白くない。ノミの大道芸シーンしかり、歌のシーン(これは英語が良くわからないという理由も大きいかもしれない)しかり。
 せっかくのバスター・キートンとの共演シーンも特に笑えるところはないどころか、キートンの延々と楽譜を落とすシーンにはうんざりするくらいで、合計20分ぐらいのカルベロの舞台シーンが物語の流れを分断していることもマイナス要因。

 本格派のクレア・ブルームは美しく十分魅力的だし、チャップリンの息子シドニーもなかなかのイケメン。あざといとは感じながらもカルベロがケリーを元気づけるセリフもやはり名言であることは間違いないのだが、やはりこれは観た時の年齢により受け取りが変わるものだと痛感する。

 因みに、ケリーの「歩けたわ」と連呼するシーン。これはチャップリンに影響を受けたと公言しているキューブリックが「博士の異常な愛情」でパロディ化していて、不謹慎ながらここが一番面白かった。
TP

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