みきわめとおる

ライムライトのみきわめとおるのレビュー・感想・評価

ライムライト(1952年製作の映画)
5.0
今、あらためてチャップリンのライムライトを語りたい。
製作年度は、1952年。チャップリンが61歳から62歳にかけて作られた。
私にとってチャップリンは映画の神であり、
人生の様々を決定づけた何者にも変えがたい存在だ。
キッドを32歳で作り、黄金狂時代を36歳で作り、街の灯を40歳で作り、モダンタイムスを46歳で作り、独裁者を50歳で作り、
殺人狂時代を56歳で作り、ライムライトを
そう、61歳なのだ。
自分が60歳に到達してしまった事実に愕然とする。しかし、誰もが認めるチャップリンの傑作はライムライトが最後でもあるのだ。

クレアブルーム扮する、自殺を図ったバレリーナ、テリーに語るかたちで、落ち目のカルヴェロたる寄席芸人は自らの人生哲学をこれでもかと語り尽くす。

「この人生はどんなにつらくとも生きるに値する。そのために必要なのものは、勇気と想像力と、ほんの少しのお金だ。」

「死と同じように避けられないものがある。
それは生きることだ。」

などなど。
ほぼライムライトの時のチャップリンと同じ歳を迎えた私にはヤバいまでに心に染みる愛の言霊だ。

クライマックスに配置された、バスターキートンとのコメディの凄さ。ビートルズとローリングストーンズがハイドパークでLIVEするかのような歴史的インパクト。

タイムイズ ア グレート アーサー。
時は偉大な作家である。いつも爺さんは去り、若いもの同士を幸せに導く。

まじか、。そうかいな。時は非情に流れていくな。残された時間の導火線はチリチリ音を立てて最後の瞬間に近づく。

1952年から20年後、1972年。チャップリンは追放されたアメリカからアカデミー賞特別賞をいただき、涙のスピーチを行う。

タイムイズアグレートアーサー。
会場の全ての人々がスタンディングオベーションでチャップリンを祝福した。

ライムライトは、チャップリンの最後の魂の傑作だ。
ジョンレノンのジョンの魂があるように、
チャップリンの魂はライムライトなのだ。

ライムライトをはじめて観たのは12歳。
チャップリンの映画で一番笑えなくてつまらなかった。
現在、60歳で観るライムライトは、
12歳✖️5倍=60倍は感動する。

テリーのテーマは、永遠の人生のテーマ曲に
なった。