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悪魔がみているのslowのネタバレレビュー・内容・結末

悪魔がみている(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

悪魔系と言えばそうだし、少し違えばアリ・アスターなんだろう。だから、そっちが好みの人にとってはつまらないかもしれない。自分はこちらの方が好み。ただ、どちらにしろ過剰なホラーの演出はこの作品にはあまり見られず、洗練されたカットの積み重ねという印象が強い。
原題は『Amulet』。教会、シスター、マグダという名など、宗教のにおいは凄いけれど、そこは相変わらずよくわからないので、その他の要素で押し通る。正直整理ができていない部分が多く自信も根拠もないレビューとなっているので、どうぞ悪しからず(話半分くらいで)。最初は屋根裏のママ(と呼んでいる怪物)に噛まれると身籠ってしまうという話なのかと思いながら観ていた。序盤にマグダも腕を噛まれていて、その後トイレからコウモリのような生物が発見される。これはマグダがトマスのあのシーンのように出産?したものなのかもしれないと思った(持っていたシーツに血が付いていた)。だから、マグダの態度が豹変したのは、その役割をトマスに押し付けようと企んだからかなとも思ったり。しかし、それだと全体的に話がちぐはぐになってしまう。ということで、ここからはまた別の妄想考察。もし、この屋根裏のママというのが「大昔妻殺しの父親と結婚させられた娘」なのだとしたら、その娘の娘(マグダ)は不測の子ということなのだろうか。しかし、不測の子というよりは「男への復讐を許された特別な子」という感じがする。その子に与えられた力は良からぬ煩悩を持つ相手を雌雄同体にしてしまうものなのかもしれず(カタツムリのカット)、コウモリ(獣とも鳥とも違う=男でも女でもない?)を生み続ける器にしてしまうというものだ。それは醜い性犯罪や近親相姦という悪しき考えは性別という区別があるからだということなのかもしれない。だとすれば、屋根裏のママは元父親の可能性もあるのだけれど、やはり根拠も何もないということを再度お伝えしておく。そもそも娘と結婚したかった父親の事件は何年前のことだったか。マグダが娘の娘だとするには昔過ぎるかもしれない。それなら結婚を迫られた娘がマグダだったでもいいのかも。
終盤で貝の中に吸い込まれるように入っていくトマス。これ極端に受け取れば、男は穴があったら入りたくなる(ここでは女がいればやりたくなるの意)愚かな生き物だと揶揄していたのだろうか。あそこで待ち受けていたのはマグダ?(ちょっと声だけでは判断できない)の真の姿かもしれないし、トマスのその様は害虫ホイホイに誘い込まれるあれのように見え何とも滑稽だった。ラストでその昔トマスに暴行された女性とその娘に会うマグダ。その際、マグダが女性に渡したものこそ、Amuletだったのだろうと思う。渡した時点でそれになったのだ。
本当、初監督作品とは思えない出来だった。まだ若い方なので、役者としても監督としても、これからさらなる活躍が期待できそう。個人的にはとても楽しめた。

追記。終盤モザイクでわからなかったシーン(完全に忘れていた)。あれってやっぱり妻殺しの男が女体化した(というか中性化した)際に残った男の名残り?だったのだろうか。だとすれば、マグダは娘となるのかなとも思うけれど、シスターが連れて来たみたいなことも言っていたし、観る度に考察が変わっていってしまう地獄。誰か正解を教えてください。
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