りり

獣の棲む家のりりのレビュー・感想・評価

獣の棲む家(2020年製作の映画)
3.2
南スーダンからイギリスに亡命してきた難民の夫婦が、イギリス政府から支給された家で怪異に遭遇する話。スーダンでの内戦の様子や、逃げ延びた先での処遇や差別なども描かれるなど社会派色の強いホラー。でもそんなに怖くはない。アフリカの精霊信仰ってきっと私たちが思うよりも彼らの生活に身近にあって、信じられているんだろうなという文化の違いも感じられた。

結局怪異の原因は彼らの中にあったもので、家族思いの優しい男があんな暴挙をしないと生き残れなかったなんて、世界はなんて残酷なんだと胸が痛い。なので、自らの罪悪感を飲み込んで手を取り合って強く生きる意志をみせるラストになったのはよかった!(壁も直されててホッ!)

途中、妻の精神世界のなかに表現される故郷の人々との温かな空気!直前の抑圧状態からの対比が際立っていてなんという心地よさ。平和なまま故郷に住み続けられたらどんなによかっただろうと思わせる時間だった。
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