導入の時点で演出がうまくいっていない微妙な映画。
非白人の女性であるという理由で性被害に逢っても深刻に受け止められないという導入だけはちゃんとしているけど、それ以降は"誇張しすぎた男性優位社会"をリアリティの欠如した物語の中で見せつけられる。
主人公のシェリーを執拗に追い回すイーサンだけでなく、彼女の周りにいる男たちも連携して襲ってくるのでその度に逃げ回らなくてならない。そして、シェリーがその場から逃げるような状況になるとその都度「RUN !」という赤字のテロップとともに画面が一時停止する。この絶妙なダサさが起きていることの深刻さを矮小化していて、次第にテーマ自体も行方不明になっていく……。
ほぼ全ての男性キャラクターはシェリーに対してキツく当たり、女性は真摯にサポートしようとするのも前世代のフェミニズムっぽくて古臭い。
他にも言いたいことはあるけど、色々な意味で薄い映画……。