horahuki

ナイト・ハウスのhorahukiのレビュー・感想・評価

ナイト・ハウス(2020年製作の映画)
4.0
私は「ここ」にいます!

夫が拳銃自殺…😱何も問題なさそうだったのに何故…。一人で悲しみに打ちひしがれていると、夫のスマホから知らない女の写真が!「誰やねん!この女!😡」となった主人公さんが夫の隠された秘密を探っていくオカルトホラー。フィルマではボロクソだけど超好き!私これ系テーマに弱過ぎるわ…😭

ネトフリ映画『ザ・リチュアル』のブルックナー監督最新作。『V/H/S94』の製作も手掛けていて、次作は『ヘルレイザー』と最近乗りに乗ってる気がする。『ザ・リチュアル』と同様に本作でも「残された者」の心情に焦点を当てており、そこに『反撥』的な表現主義手法、死者の謎を解明していく『呪いの家』や『第七の犠牲者』的なミステリ手法を盛り込み、『ザ・リチュアル』で言うところの「神・森」との決別を描いた作品。

主人公は教員をしてるんだけど「ウチの子が何でC評価なん?」とクレームつけて来た親に「私、夫が拳銃自殺したんやけど!😡お前の子とかどーでもええねん!Bにするから引っ込んでろ!」で有無を言わさずに一蹴するの笑った🤣強すぎる!!

シンメトリーの虚しさ、夜の静けさの中に響き渡る微かな音、揺れるカーテン。相手いなくてもベッドの片側で寝てしまう感覚とかすんごいわかる…。そんな不在の実感を積み重ねる中で、膨れ上がる帰ってきて欲しい願望とその願望の消化活動の葛藤を投影した恐怖演出が静かに続いていく。『回転』的演出や『ルビンの壺』を想起させる騙し絵的な錯覚を多用することで恐怖演出の心の投影としての性格を強調している。

夫が設計したCaerdroia(鏡像)と実像の反転関係と位置関係(妻から隠れた場所)が夫の心的な内-外をそのまま表現し、更にその地下である夫の深層心理に隠されているものは当然実像(=妻)へと、夫の深層心理として帰ってくる。欺くための迷宮の撹乱対象は悪魔などではなく、妻そして夫自身の心に巣食うもの。そして妻を脅かしている「悪魔」の所在は鏡に浮かび上がる「HERE」と共に実像(=妻)の中にあると示される。

表面上の物語をそのままに受け取ると「なんじゃそりゃ🤣」な感覚になってしまうのだけれど、そのあたりのB級感を意図的に採り入れた上での結婚そのものへの分析であって、本作の形而上学的命題自体も「死」そのものではなく関係性のメタファーとして考えられる。「死ぬ」という意味ではあるけれど、その背景に多種多様な解釈を生む『ハムレット』からの引用句をあえて用いた理由もそこに意味を見出せる。
 
何も解決しないし何もわからないし、心の奥底にある根本的原因は取り除かれはしないし、罪悪感は常に重くのしかかる(湖の上にボートは浮かび続ける)けれど、心の向ける方向だけは間違えてはいけないというメッセージはやっぱりグッと来てしまう😭
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