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短い労働の日のadeamのレビュー・感想・評価

短い労働の日(1981年製作の映画)
3.0
既にフィクションへ進出していたキェシロフスキが架空の人物設定をしながらも実際の出来事に基づいて描く心理ドラマ。
共産党の書記を務める男が物価高騰に対する労働者たちのストとデモに直面し、その対処に苦悩と葛藤を巡らせる物語です。
通りの向こうからじわじわと押し寄せた群衆が暴徒化していく様をホラーのように演出し、そこに男の心の声がモノローグで語られることで、党員としての毅然とした態度の裏にある恐れや焦りが面白く描かれています。
結末は少し物足りない気もしますが、ドキュメンタリーで培われた生々しい迫力を画面に焼き付ける術が冴え渡っていました。
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