労働者のデモを起こされた側から描く作品です。
ポーランドの連帯運動が描かれるわけですが、労働者側からの映画はアンジェイ・ワイダ監督などがよく描いています。
キェシロフスキ監督がこの映画で書記の視点から描く事で、その上の階級の恐ろしさが強調され、共産主義構造の歪みがより深い部分で伝わってきます。

デモも起こされる側の視点で見ると、建物が囲まれていくシーンは怖いですし、上との板挟みは中間管理職的な葛藤があります。
当時、テレビ映画として製作されながら、検閲で放送禁止、キェシロフスキ監督が亡くなってから放送されたという曰く付きの作品で、そういう背景からも本作のテーマ、リアリティは伝わりますね。

• #キェシロフスキ監督を語りたい

既にフィクションへ進出していたキェシロフスキが架空の人物設定をしながらも実際の出来事に基づいて描く心理ドラマ。
共産党の書記を務める男が物価高騰に対する労働者たちのストとデモに直面し、その対処に苦悩と葛藤を巡らせる物語です。
通りの向こうからじわじわと押し寄せた群衆が暴徒化していく様をホラーのように演出し、そこに男の心の声がモノローグで語られることで、党員としての毅然とした態度の裏にある恐れや焦りが面白く描かれています。
結末は少し物足りない気もしますが、ドキュメンタリーで培われた生々しい迫力を画面に焼き付ける術が冴え渡っていました。

「短い労働日」

冒頭、1968年同志諸君。連帯、民主の群、ポーランドの旗、行進、党書記、抗議者、ストライキ、鉄のカーテン、中央政府、暴徒と党の対立。今、時代の流れを垣間見る…本作はクシシュトフ・キェシロフスキ監督による1981年テレビ映画で、この度DVDの特典に入っていたものを初鑑賞した。基本的に主要人物達は通常の時間を生活出来ないでいる。地方党の書記（今でもポーランドが鉄のカーテンの後ろにあった時）は、中央政府による食料価格の大幅な上昇に抗議するストライキの群衆に直面し困惑した秘書は、最初に推奨されている急いで逃げるのではなく、パーティーのオフィスでそれを突き出すことを決定する。映像のほとんどは党書記の視点から映り、抗議者に対処するための彼の考えと戦略は、ナレーションを通じて観客に聞かされる。暴徒と党の対立は緊迫した状況へとなる。この映画は、コスタグラバス監督の商標である政治スリラーを彷仏とさせる場面があり、その作品との違いでは、ほとんどのアクションが一つの場所に制限されてる事である。またパーティービルの入り口を囲む暴徒のシーンは画期的で説得力がある。それらの暴徒のシーンの間に、メインのアクションを分割し、抗議者の何人かが後で何が起こったかを説明する挿入文があったり、教訓的かもしれないが、単なる気晴らしに終わるのも凄い。

「スティル・アライヴ」

本作は、クシシュトフ・キェシロフスキ監督による2005年のドキュメンタリーで、この度DVDの特典映像で初鑑賞した。今までの作品に対してのスタッフの裏話だったり、様々なポーランド映画に関わる映像が写し出されて紹介される映像になる。 キェシロフスキの葬儀の実際の映像が流れたのは凄かった。にしても、色々と映画祭の背景や裏話が聞けて見えるのは興味深い。ビノッシュのインタビューとか、トリコロール三部作の撮影秘話とかも面白く感じた。