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VETERAN ヴェテランのkuuのレビュー・感想・評価

VETERAN ヴェテラン(2019年製作の映画)
3.3
『VETERAN ヴェテラン』
原題 VFW
製作年 2019年。上映時間 92分。
退役軍人たちがジャンキー軍団相手に繰り広げる壮絶な闘いを描くアクション。
フレッド役にイカれたお爺さんスティーブン・ラング。
他には、『ベスト・キッド』のその後を描いたドラマ『コブラ会』の鬼センセイ、マーティン・コーヴがでてたのは個人的にうれしかった。
余談が過ぎますが、原題の『VFW』てのはVeterans of Foreign Warsの略で、彼らは米国の退役軍人の組織で、軍人として外国の陸地、海域、空域で戦争、作戦、遠征を戦った。
VFWの目的は、国家の障害者や困窮退役軍人のリハビリテーションを早めること、退役軍人の未亡人や孤児、困窮退役軍人や障害退役軍人の扶養家族を援助すること、愛国心教育や地域社会への建設的な奉仕活動によってアメリカニズムを促進することだそうっすよ。

麻薬系鎮痛剤オピオイド危機により、薬物常用者はハイプと呼ばれるドラッグに溺れるように。
都市はハイプを巡って交戦地帯となり、無政府状態に陥る。
かつてベトナム戦争で鬼軍曹として怖れられたフレッドは、退役軍人会の支部を改装してバーを営んでいた。
ある夜、バーの常連である戦友たちが昔話で盛り上がっていると、1人の少女が逃げ込んで来る。フレッドたちは少女を追って来た男たちを返り討ちにするが、外にはまだ大勢の気配が。
少女を問いただすと、彼女は組織から大量のハイプを奪って来たと話す。。。

これはゾンビ映画なんかと、きっと途中から観たら思うかも。。。

ジョー・ベゴス監督の十八番、荒唐無稽な面白さは健在かな。
欠点がないわけではないが、今作品は真のグラインドハウス地獄を作り上げている。ネオンに染まり、16ミリのざらざらした美学に塗られ、血みどろの喜びに満ち、実に善きベテラン・キャストに導かれている。
それ以外に何を望むというのか笑
今作品は今の時代にはあまりに珍しいタイプの映画で、80年代のスローバック・ミッドナイト・フリックであることは観たら多くの方が認めるところやとは思うし、こういう映画がもっとあればエエのになぁと思う。
今作品は最初から最後まで、スプラッターハウス・アクション、実用的なFXの大騒動、様々な殺戮、スリルなど、ホラーファンに必要なもの全てに満ち溢れた、紛れもない娯楽作品と云える。しかし真の魅力は、この映画の中心的キャスト。
80年代のスターたちが80年代の映画に出演していること。
スティーヴン・ラング、フレッド・ウィリアムソン、マーティン・コーヴ、ウィリアム・サドラーなど、キレがあり、親しみやすく、ただただ善き爺さんキャラたちが、一緒に楽しみながら不良たちを殺していく。
単純な包囲シナリオ、古典的な善人対悪人のアイデア、ひねりはなく、ただ単純明快で消化しやすい面白さ。
批判的な見方をすれば、今作品には深みがなく、少し使い捨て感があり、予測可能性が高く、云うべきこともそれほど多くはないのだが、率直は、90分を通して、そんなことは気にならなかったんやけど。
ブラリエとマカードルによる脚本は必ずしも的を射ているとは云えず、白髪交じりの古風なミー・アンド・ザ・ボーイズの台詞がすべて有機的であるとも云えず、物語も十分に浅薄だが、ジョー・ベゴスはその扱い方を熟知してはいるかな。
今作品は、グラインドハウス・インディの『エクスペンダブルズ』のもう少し年をとったみたいなもので、もっとクールで、もっとソースがある。どんなに欠点があろうとも、ジャンル・ファンの心の中に居場所を見つけるとは思います。
ジョー・ベゴスは間違いなく、現在インディー・シーンで活躍する善き監督の一人かな。
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